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寿司と花火

 2008年8月新潟時代の日記です。
 
 昨日の日曜は、新潟祭りの最終日、恒例の花火だった。
10月には東京に戻るので、当方にとって最後の新潟まつり、花火だ。
例年の如く、夜7時から信濃川で打ち上げる。
 
 花火に先立ち、先ず、寿司を食べようと、夕方家を出る。
前日の伊勢丹の寿司は、今一ということで、
今回は監視人殿も納得し、いつもの寿司屋に行く。
 
 浴衣を着た若い女将(?)が、いつものカウンターに案内して、
先日は有り難うございました、この後花火に行かれるのですか?
とか、ひとしきり話す。背が高く、なかなかの美形だ。
職人さんは、水槽の魚が少ないのは、
夏は岩船から、運ぶと痛むので減らしているから、とか、
こっちも、それなりの話をする。
少々煩わしいが、儀式だから仕方がない。
 
 いつもの如く、冷酒を飲みながら寿司を注文する。
珍しく、秋刀魚があり、これを始めに、鯵、鯛、雲丹、もう一度秋刀魚、
卵、といったところで、合計10貫ほど食べる。
やはりデパートよりは美味い。
 
 そこから、ゆっくり歩いて信濃川沿いに着くと、まだ6時だ。
打ち上げまで、1時間ほどあるのだが、結構な人(両岸に数万人)がいて、
場所取りをしている。
ビニールの上に座り、枝豆を食べて缶ビールを飲むというのが、
定番らしい。
こちらも負けずに、なんとか一番前に二人分のスペースを確保し、
持参の携帯椅子に座る。
缶ビールは、忘れた。
 
 花火までの1時間は、信濃川の落日の情景に見とれる。
200メートルほどの川幅一杯に、満面の水量でゆったりと流れ、
いかにも、大河だ。
太陽が、ゆっくりと沈み、水面に映る光の筋が細くなっていく。
日が沈みきると、夕焼けの薄い雲が横に大きく広がり、
時間とともに細く、短くなっていく。
波打つ川面は、徐々に暗くなり、やがて万代橋のアーチを照らす
橙色の灯りがともり、波に反射してきらきらと輝く。
さわやかな風は、秋の匂がする。
 
 花火が始まる前に、周りの人に気を使い、椅子をたたんで地べたに座る。
下は石畳になっており、昼間の日差しにさらされた、生暖かい感触が残っている。
花火は例年の如くで、それなりに楽しめるのだが、
30分も見ていると飽きてくるし、つい、うとうとと、してしまう。
 
 8時過ぎ、今日はこれくらいで良いだろうと、はや引きした。
新潟の花火見物はこれが最後だが、寿司、信濃川、喧騒を
セットで、記憶に刻んでおこう。

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