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円安が続かない理由

 昨今の円安にしびれを切らして当局が介入している(らしい)が、それでも今の150円台半ばの円安は行き過ぎだと思う。日米の金利差を反映していると言うが、冷静に見れば、米国の物価高が激しく、ドルの価値が下がり続けているのが事実だ。購買力平価で比較すると1ドルはせいぜい100円くらいだろう。
 
 文芸春秋6月号の記事、投資家必読!「円安が続かない理由」(岩本さゆみ)が興味深い。岩本さゆみさんは、日・米・加・豪の金融機関でバイス・プレジデントとして国際金融取引に従事した経験をもち、金融機関専門誌「ユーロマネー」のアンケートで為替予測部門の優秀ディーラーに選出されたこともあるとのこと。
 
 以下、記事を抜粋すると・・・・ 
 1991年から現在まで、政府・日銀は円高時にはドルを買い、円安時にはドルを売った結果、その時々の安値圏でドルを購入、高値圏で売却してきたような状況です。手元の計算で、この間のドル買いの平均コストは101円、ドル売りは142円です。・・・・長期的にみれば、当局ほど上手いプレーヤ―はいなそうです。
 4月にはいり・・・・突如として「10年物の米国債」が売られたのです。日本の財務省の可能性も頭に過りました。・・・・ドル売り介入で多量に売るための軍資金を準備しているかもしれません。
 円安に歯止めをかけるなら、大規模な円買い介入と日銀の追加利上げのセットが必要でしょう。そして、あわよくば米国が利下げとなれば、一層効果的となります。
 ではどの程度の金額を介入すればよいのか。(スイスフランの例を参考にすると、)60兆円の円買いと0.5%の利上げで円安に歯止めがかけられそうです。
 ドル売りの原資は日本の外貨準備高となります。2024年3月末時点の日本の外貨準備高は1兆2906億ドル(約195兆円)・・・・です。
 この4半世紀で日本の外貨準備高は4倍に急増しました。先進各国の外貨準備は押しなべて一桁台ですが、日本は約3割と突出しています。この数年の円安による為替差益の確定と考えれば60兆円程度を売ったところで何ら問題はないでしょう。
 
 今年中に、当局が50~60兆円の円買いをおこない、金利を0.5%程度まで上げ、一方米国の金利が下がり始める。為替は一気に円高に振れ、購買力平価に近づく。と個人的には予想している。

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