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不倫は一回で二度得する

 2016年10月の日記です。
 
 私のことではない、藤堂志津子の小説の事だ。
2週間ほど前、アマゾンで本を検索していると、
藤堂志津子の文庫25冊のセットが2500円とのこと。
神田の古本屋の店先でも文庫は一冊100円、それが相場らしい。
藤堂志津子は1988年に
「熟れてゆく夏」で直木賞を受賞している。
直木賞作家の小説は一応読むことにしているし、
これで、暫くは、本探しから解放されると、直ぐに注文した。
 
 数日後、配達された文庫25冊を積み重ねると
高さ4、50センチほどになり、ボリュームたっぷりだ。
嬉々として読み始めた。
最初に読んだ「婚約者」はなかなかだった。
ホモセクシュアルは異質の世界だが、
人は0か100かではない、誰もが20から80、なんとなく理解できる。
 
 2冊目、3冊目と読み進め、現在9冊目を進行中。
全てが女性から見た恋愛がテーマだが、
心が燃え上がる一途な恋愛ではなく、
感情と別に冷めた心理も描かれている。
随所に不倫が出てきて花(?)を添えるが、
深刻さはなく、カラッとしている。
 
 彼女は私と略同年代、一度結婚しているが、
6年程で離婚し、その後はずっと独身だ。
エッセイの中で、友人が彼女に言うには、
「私たち独身者の老後のよりどころは、結局のところ友達よ。
だから私、今から交流の輪をどんどん広げているの。
恋人も不倫相手も、ぜーんぶひっくるめて、
2,30年後はみんな茶飲み友達よ。
そう考えたら不倫だって不毛のままには終わらない。
一回で二度トクする。」
不倫は文化だ、と言った人より上をいっている。

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