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浦佐の新緑

 2008年5月、新潟時代の日記です。
 
 新潟から上越新幹線に乗り、長岡の先、浦佐、越後湯沢辺りは山とトンネルで、携帯電話も圏外になる。トンネルを過ぎると群馬県に入り、天候が一変する。トンネルを出たら雪だった・・・の逆だ。
 
 昨日、出張で、新潟を10時過ぎの新幹線に乗り、大宮に向ったのだが、浦佐駅近辺、トンネルの合間に見える景観が素晴らしい。雲の間から射す薄日が、山間の新緑を照らしている。手前は一面の田圃、植えたばかりの稲が水面から顔を出して真っ直ぐに上を向き、水は稲の薄緑色に染まっている。農家が点在し、老夫婦が農業をしているに違いない。
 
 田圃の向こうは、こんもりとした山が迫り、日差しを受けた明るい新緑と、日の及ばない影の新緑とが絡み合って山の凹凸が際立つ。その向こうは濃紺の山肌に雪が何本もの糸のよう上から垂れている。
 
 景観を眺めているうちに、今自分の心に引っかかっている公私の諸々は、結局はさしたる事ではないと思えてきた。


 追:今思えば、心に引っかかる諸々が有り余るほどあったが故に、
   あの景観に心が打たれたのだろう。

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