見出し画像

両親 13.老人ホームに入る

 2006年7月、両親は老人ホームに入ると言い出した。92歳の父と84歳の母は横浜に住んでいるが、3月から母の2度の入院もあり、2人だけでの生活は困難になった。主として川崎の姉が泊まりこみで面倒見て、我監視人(妻)が時々新潟から遠征してリリーフをしている。

  母は2人に迷惑をかけているとの意識が強く、姉の旦那にも申し訳ないと、老人ホームに2人で入るとのこと。ただし、父とは別々の部屋だとか。父は乗り気ではないが、母が入るなら仕方がないと言っている。

  お盆に、横浜に戻り、姉夫妻と私で、近隣のホームを数件見学し、8月中に気にところに決めて順調にいけば9月にでも入居との目論見だ。

  私としては、どうも、すっきりしない。2人とも認知症ではないし、家事が出来ないだけで、介護もさほどのことはない。食事と洗濯くらいをすればいいわけで、昼間はヘルパーさんも来るし、夜は、寝ているから、ほっておけばいい。(なにかあったらナースコールのボタンを押せばいいようにしてある。妻もそれほど嫌がってはいない。母は長くてもあと1年、父もそう長くはないのだが、本人たちは、先はまだ長いと思っているようで、気兼ねしながら生活するのは、いやだと言うことか・・・

  その後、父と母は何箇所かのホームに体験入居をしたが、どれも、うまくいかない。問題は父の方で、どこも、喫煙の場所と時間に制限があり、それが、気に入らないとか。92歳の父は、年とともに、短気になり、怒ることが多くなった。自宅で、姉や当家の妻(リリーフ役)の世話になっていれば、至れり尽くせりで、それをホームに望んでも無理、煙草の制限は、ONEofThemということだろう。

  母は、なんとか父を説得しようとしているようだが、父が納得しているとは思えない。普通は、長男の私が一緒に住んで面倒見るものだとか、言っているらしい。土曜に、日帰りで新潟から片道4時間かけて行って父と話したが、もう直ぐホームに入るなんていう悲壮感はなく、話題にも出てこない。状況を理解しているとは思えなかった。

  それでも、10月にオープンしたばかりの、個室が広く、簡単なキッチンもついていて、訪問者が来た時には、部屋食もできる、おまけに、喫煙場所が各階にあって、比較的吸いやすい、まことにもって、至れり尽くせり、父向けらしきホームが見つかり、2人でショートステイし、そこにきめた。

  妻は、考え込んでいるようで、両親にとってこれでいいのか、自分たちが後悔することにならないだろうかとか、いろいろ言っている。両親が入ったところは、隣同士だが別々の個室になっている。個室は結構広いので、訪問すれば一緒に食事も出来るから、ちょくちょく訪ねることにしようということで、自分たちを納得させようとしている。

  実家に日帰りしたときに、母が最後にもう一回だけ、巻き寿司をつくりたいとのことで、姉が協力し、20本ばかり作った。具は、アナゴ・かんぴょう等々、何時もの如く母得意の7種類だ。毎年正月に作っていたとおりの味で、まあまあ美味かったが、私の嫌いな椎茸がしっかり入っていて、爪楊枝で取り出して食べたのは、いつも通りだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?