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シングルメジロ

 2011年8月の日記です。
 
 先週のお盆休みの初日、墓参りの後、足を延ばし、
多摩川の上流、御岳の我定宿、河鹿園、に一泊した。
渓谷沿いの急傾斜に建てられた昭和初期の建物を、
そのまま丁寧に維持しており、
部屋に入るとタイムスリップしたようだ。
眼下では、青い清流が岩にぶつかりながら音を立てて流れ、
川の向うには深緑の山影が幾重にも重なっている。

部屋から下を覗く


 
 夕食は何時も通り、多彩な懐石料理、
薄味、量も控えめで我々には程よい。
夏向けの食器や、飾りに添えられた一輪の花など、
目でも充分に楽しませてくれる。
 


 朝食を大広間で食べ、庭に沿った長い廊下に出ると、
外に向けて何脚かの椅子が並べられており中ほどに並んで座る。
履き出しの窓は一面のガラス張りで、
一部が開け放たされ、雑木林の中にいるような気分になる。

中庭


コーヒーを飲みながら中庭を見る


 
 暫し庭を眺めていると、目白がやってきた。
木の枝から枝へと渡り歩き、やがて目の前の石畳に降り、
小さな池(小鳥用?)に口を突っついて水を飲んだ後、
体ごと池に入り、羽を水面にぱちゃぱちゃと当てて、
気持ちよさそうに水浴びをする。
水浴び後、木の枝に移り、羽を振るって水を切る。
あっちこっちの枝に移った後、再度、石畳に降りて水を飲み、
水浴びをして、木の枝に移り水切りを行う。
真夏をしのぐ術を心得ているようだ。
 
 ところが、来るはずのもう一羽が来ない。
目白も百舌も大抵の小鳥は2羽で行動しており、
小鳥の単独行動は見たことが無い。
1羽だけでは寂しかろうとも思うが、そんな素振りはない。
考えてみると、普通は2羽同時に亡くなるわけではなく、
シングル目白がいても不思議ではない。
いつかはシングルになるのが世の常・・・らしい。

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