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自転車に乗る白人夫妻

 2014年9月、京都石塀小道の片泊の宿に一泊した朝・・・
 
 知恩院から南禅寺に向かい、
疎水沿いの大通りから、緑濃い遊歩道に入ってトンネルを潜ると、
前方から自転車に乗る50歳くらいの白人夫妻が我々の前で止めて、
女性(妻殿?)が、英語で、「英語は話せるか?」と訊く。
ふっくらしたなかなかの美人、ノースリーブ、短パン、
露出度が大きく、そばかすだらけだが、健康的で感じがいい。
 
 「うん、話すが?」と言うと、ホッとした表情で、
「コーチインは何処か」と訊く。
「コーチイン???」
すると、持っていたガイドブックの地図を見せて、ここだと言う。
確かに英語でコーチインと書いてあるが、
そこは、コンチイン、金地院だ、
「それなら、100メートル余り戻ると左側にある。」
心配そうに見ていた夫殿もほっとしたようで、
礼を言って、自転車を引っ張って歩き始めた。
 
 外国人が行くくらいだから、いいのかも、
と、特に目的のない我々も、いざ、金地院に向かう。
 
 金地院の門は幅5,6メートル、
右内側の小さな小屋が受付になっている。
先に到着していた白人夫妻が私を見ると、
又も、女性が、
「ここに入りたいが、自転車をどうすればいいか、聞いてくれないか、」
と言うので、
「うん、わかった、待ってくれ」
で、受付のオジサン(60代?)に、確認して、
「門の内側に置いてくれればいいそうだ。」
と女性に言うと、受付のオジサンが、
突如、身を乗り出して、大きく明瞭な英語で
「門の左内側に寄せて置いてください。
自分が見ているから大丈夫です。」と言う。
 
 訓練されたマニュアルトークだろうが、分かり易い英語だ。
女性は、にこにこしながら、「有難う、いい英語ですね。」
私が、調子に乗って、
「このあたりでは、みんな英語を話しますよ。」
というと、夫妻が共に、大げさな身振りで、
「とんでもない!」との事。
国際観光都市京都とは言へ、町中では英語が通じず、
苦労している様子が、ありあり、だった。
 
 金地院は木々の緑が濃く、草花もよく整備され、
本堂前に広がる鶴亀の石庭も素晴らしい。
帰りがけに、先ほどの受付のオジサンに、
すごく、よかったと言うと、うれしそうに「有難うございます」
ついでに、「英語も素晴らしかったですよ」と言うと、
にこにこしながら大袈裟に頭をかいていた。

金地院の一角にこんな看板が・・・

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