見出し画像

「弱者」の定義案

免責事項
本稿の内容は素人の考えであり専門性はありません。

2024/9/30
内容が無責任のような気がしてきました。
取り急ぎ、この記事における「弱者」は造語だと思っていただけると助かります。

概要
まず準備として、「生存戦略」と「生存資源」、「強者/弱者」について確認します。
次に、生存戦略の分類とそれに基づく強者/弱者の解釈を示します。
最後に、次の強者/弱者の定義を提案します。

強者/弱者の定義 (提案)
強者:資源投入型の生存戦略をとる者
弱者:資源配分型の生存戦略をとる者


1. 経緯

最近、弱者という言葉をよく見かけた。
そこから、弱者という言葉にはネガティブな印象が付き纏っているように感じた。
なぜだろうか?

その理由として、「”弱者”という言葉からは”敗北者”のような印象を想起しやすいから」ではないかと考えた。

そこで、”弱者”と”敗北者”の繫がりを弱めてみようかと思った。

2.準備

2-1. 生存戦略とは?

厳密な意味はさておき、本稿では次のような認識で構わない。

生存戦略とは?
生存という目的を達成するための行動の方法についての計画

生存戦略:生存を目的とした戦略
戦略:目的を達成するための方法についての計画

2-2. 生存資源とは?

行動には、何らかの動力源が必要だ。
人間が活動するのも虫が飛ぶのも (ロボットが稼働するのも)タダではない。
行動の結果として追加の動力が得られない状態が続けば、その生物は衰弱して死へと向かう。

この動力源ようなものを本稿では生存資源と呼ぶ。
他の表現として、コストやエネルギーと解釈しても構わない。

細かな解釈は様々だと思うが、ここでは”生存資源”と呼ぶ対象についておおまかに認識を共有できれば十分だ。
”生存資源”とは、具体的には次のようなものだ。

生存資源の分類
※括弧内は具体例を示す

人的資源
◆時間 (余暇, 精神的余裕, 寿命, 健康)
◆身体能力 (腕力, 体力, 持久力, 瞬発力, 集中力, 行動力)
◆知的能力 (知能, 知識, 経験, 技術, 自信)
◆魅力 (容姿, 雰囲気)
◆人格 (好まれやすさ, 親しみやすさ)

社会資源
◆権力 (基本的人権, 特別な権利, 社会的役割)
◆地位・名声 (社会的認知, 評判, 影響力)
◆人脈・繫がり・コミュニティ (所属, 協調)
◆実績 (歴史, 記録, データ)

金融資源
◆通貨・資産 (お金, 換金できる所有物)

「人的」「社会」「金融」という大分類は次の書籍から引用
橘玲, 『幸福の「資本」論』, ダイヤモンド社, 2017, 280p.

2-3. 強者/弱者とは?

ここでは、とりあえず次のように考える。
※最終的な定義案は最後の「4. 強者/弱者の定義案」項にて示す。

定義案 (暫定版)
強者
とは、資源投入型の生存戦略をとる者。
弱者とは、資源配分型の生存戦略をとる者。

3. 構成と様相

3-1. 生存戦略の分類

「資源投入型」と「資源配分型」という新しい二つの概念について、次の喩え話によって説明する。

喩え話:「今日は何をしよう?」
体力が100ある。
食料が必要だ。安全確保も必要だ。
さて、どうしよう?

資源投入型の対処 (強者の対処方法)
「頑張って体力を増やす」
体力を+20して120にする。
体力を、食料探しに50&安全警戒に70 配分する。
100+20=120 → 120=50+70

資源配分型の対処 (弱者の対処方法)
「体力を効率的に配分する」
食料はまだ備蓄があるから安全の方が優先だ。
体力を、食料探しに30&安全警戒に70 配分する。
100 → 100=30+70

ちなみに、これはエネルギー保存則の考え方のつもりだ。

「資源投入型」と「資源配分型」の二つの生存戦略をそれぞれ「強者戦略」と「弱者戦略」と呼ぶ。

強者戦略:資源投入型:頑張って元気を増やす
弱者戦略:資源配分型:元気を効率的に配分する

3-2. 強者/弱者の性質

まず、強者戦略と弱者戦略について、それぞれのメリットとデメリットを示す。

強者戦略 (資源投入型の生存戦略)
メリット

◆多くのことに多くの資源を投資できること
デメリット
◆競合相手 (敵)と遭遇しやすいこと
◆敗北により大損をする場合があること

弱者戦略 (資源配分型の生存戦略)
メリット

◆外部からの干渉を受けづらく安定していること
デメリット
◆資源配分の判断が難しいこと
◆投資できる資源量が小さいこと

これは次のように整理することもできる。

強者:戦いに積極的
弱者:戦いに消極的

追加で、人間のストレス反応は交換神経が云々でアドレナリンとノルアドレナリンがナントカであり、これを「闘争と逃走の反応」というらしい。
これを安直に結びつけるとすれば、次のようになるかもしれない。

ストレス反応
強者
:戦いに積極的:闘争的な反応
弱者:戦いに消極的:逃走的な反応

また、気持ちとしては次のような感じだ。

強者/弱者の気持ち

強者の気持ち
前提として”戦うつもり”だ。
だから、関心事は「どのように闘争するか?」や「どのように自身を強化するか?」といったことだ。

弱者の気持ち
前提として”戦いたくない”
だから、関心事は「どのように逃走するか?」や「どのように身を隠すか?」といったことだ。

この意味で、弱者は直接的に戦うことを避けるため敗北することは少ない。敗北があるとすれば、それは逃走の失敗という形だと考えられる。

ただし、弱者は全く戦わないかというとそうではない。
なぜなら、生物が生存することとは物理的な流れに逆らうことだと考えられ、「逆らう」というのは戦うということだからだ。
弱者は戦わないのではなく、逃走という形態の戦い方をしているものと解釈できる。

3-3. 強者と弱者、それぞれが直面する問題

強者が直面する問題:敗北リスク
弱者が直面する問題:ジレンマ

敗北リスク (強者が直面する問題)
強者は、資源を投入し活動の量と範囲を拡大するため、他者と遭遇・競合しやすい。
必然的に他者との折り合いをつける必要性に迫られ、競争になる。(話し合いも競争の一形態と見なす)
競争の勝者が多くの利益を獲得し、敗者は損失を負うことになる。
少しでも敗北リスクから逃れるために、常に資源を投入し続けなければならない。侵略されないために侵略し続けることになる。

これは、他者との衝突による問題と言える。

ジレンマ (弱者が直面する問題)
「あちらを立てればこちらが立たず」
何かを獲得しようとするとき、必ず別の何かを失うことになる。
「何を優先するべきか?」という問題は、未来予測が絡んだ正解の無い最適化問題だ。
また、既存の資源が失われることへの不安にも曝される。
少しでも正解に近い判断をするために、常により普遍的な判断方法を探し続けなければならない。必要性と諦めの間で常に悩み続けることになる。

これは、必要性同士の衝突による問題と言える。

3-4. より複雑な実際の状態

生物の活動領域が限られているとすれば、生存資源の総量も限られているはずだ。
領域内での生存資源が消費され減少すると、生存戦略は複雑化する。
最終的に、強者と弱者という二つのグループ (あるいは戦略)は重なり合うことになる。

強者と弱者の融合

強者であっても、弱者戦略をとらざるをえなくなる。

力任せに競争相手を打ち負かすことが厳しくなってきて、どの方面にどのように攻めるかといった最適化問題に直面する。

弱者であっても、強者戦略をとらざるをえなくなる。
確保していた既存の資源が徐々に減少してくることで、資源配分だけでは生存が成り立たなくなってくる。そのために、外部から新しく資源を補填する必要性に直面する。

あるいは、個人や集団の内部において、強者である部分と弱者である部分が別々に存在している状態もありうる。

例えば、腕力は強いけど口下手な人とか。
この場合、この人は腕力という生存資源については強者であり、話術という生存資源については弱者だ。

4. 強者/弱者の定義案

本稿のまとめとして最終的な定義案を示す。

定義案
ある種の生存資源Rを消費するような行動において、
強者戦略をとる者をRによる競争における強者と呼ぶ。
弱者戦略をとる者をRによる競争における弱者と呼ぶ。

ただし、
強者戦略 :資源投入型の生存戦略
弱者戦略 :資源配分型の生存戦略

感想

本稿の目的は「弱者」という言葉から「敗北者」という印象が想起されやすいという二者の繫がりを弱めるというものでした。
その手段として、強者/弱者についての独自の定義を提案しました。
目的がどのくらい上手くいったのかよく分かりません。
コメントで教えていただけると嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?