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世の中の役に立たないこと。#6

自己肯定感が低い人はセルフケアが苦手だと聞いたことがある。
これを聞いて「たしかに」とうなずける。私も自己肯定感が低く、セルフケアが苦手だからだ。
なぜ、この話をしているかと言うと、今、生理3日目で頭痛薬を飲んでも治らない頭痛と、通常以上に感情が繊細になっているにも関わらずこの原稿を書いているからだ。本来ならば、温かい湯船に浸かったり、早く寝るなどして身体を休めるべきなのだ。そんなこと、言われなくてもわかっている。けれど、なんだか休む気になれない。アロマキャンドりを炊いたり、ハーブティーを飲んだりと、手は尽くした。それでもダメだった。休んだら、寝落ちするまでこの頭痛と感情の繊細さに向き合わなければいけないような気がして、それが怖くて気が休まらないのと、コンディションが落ちている時こそ「何かしなければ」と自分の中で自分に生産性を課してしまいたくなる。コンディションが悪いのだから、当然、パフォーマンスが悪いことだってわかっている。今は休んで、元気になってから何かしたほうが絶対にいい。なのに、休めない。休むことへの罪悪感みたいなものがある。「このままじゃ、いつか病気になっちゃうぞ」と自分自身に苦笑している自分もいるのはたしかだ。

今月はPMS(月経前症候群)もPMDD(月経前不快気分障害)の症状もなく、生理予定日をすっかり忘れてしまっていた。生理が始まっても2日目までは珍しく快適に過ごしていて、このまま順調に生理が終わってくれるような気がしていた。ところが、3日目の今日の夕方になって、じわじわと頭痛が始まって、その時は生憎頭痛薬を持っていなかったから、「まあ、家に帰って薬飲めば治るでしょ」くらいに思っていた。家に帰って早速頭痛薬を飲んだけれど、それでも頭痛は治らなくて、だんだん気持ちがハラハラしてきて落ち着きのなさが出てきた。頭痛と気持ちのハラハラで、なんだか忙しい。心と身体の状態がアンバランスで居心地が悪い。

横になって休めばいいのだけれど、なんせ気持ちがハラハラして落ち着かないものだから、休むことに集中ができない。休んだら「痛い」か「ハラハラ」のどちらか、もしくは両方に向き合わなければいけないのだ。それってちょっと怖いと思った。
仕方なしに、今できることとして一つ原稿があったのでWordを開く。ところが、頭痛のせいか気持ちのせいか、うまく言葉がまとまらない。それに、こんなイレギュラーな状態で文章は書くべきではない。別にまだ余裕があることだから、やるのはやめにして、Wordは閉じた。
それでも休む気にはなれず、リラックスして少しでも気が紛れるならとAmazonプライムビデオで今期アニメの最新話が配信されていたので観ることにした。のほほん系なので、約30分間集中して観れた。あっという間にエンディングになり、さっきより少し楽になっていることに気づいた。よしよし、と思っていたのも束の間、やはり何かしていないと落ち着かない。
普段なら「何か作りたい」だとか「何かしたい」と、積極的に生産的なことをしたいと強く思うことはないのだけれど、コンディションが落ちている今だからこそ、何かしていないといてはいけないような強迫観念みたいなものがあるのだと思う。私はわりとそういう傾向があると思う。もう、傾向までわかっているのだけど……。
結局その後も、引っ越してから組み立てようと思っていたIKEAのテーブルを組み立てた。コンディションが悪いのに、「何かしなきゃ」と捉われている自分が正気じゃないことに引きながら、だけどもやっぱりそういう状態にさせちゃうんだと思う、生理は。
そう思っているうちに、だんだんこの正気の沙汰じゃなさは自分の中で特別な状況ような気がしてきて、今の状態は「自分のセルフケアの苦手さ」と「それに伴って、積極的に頑張っちゃう自分」が思い浮かんだ。普段、文章を書く時はちゃんと構成を考えてから書くけれど、今はそういうのもなしにワァーっと勢いで書いている。

この数時間の出来事を振り返ったことで、頭痛はまだあるけれど、いつの間にかハラハラは抜けた。ようやく眠気が出てきたので、今度こそよしよし、という気持ち。これを書き終わったらさっさと寝よう。原稿をやろうとしたり、テーブルを組み立てたりしたことは、なんだかんだで休む罪悪感から逃れるための試行錯誤の行動だったのかもしれないから、まあ自分を責めないでいようと思う。けれど、本当に心の底から「休んで、活動的でなくてもいいよ。生産性なんて気にしなくていいよ」と思えるようになったら上等だと思う。頭ではわかっていても、心でわかっていないことはまだまだある。やはり、今日みたいな状態の時に、自分のセルフケアの苦手さを再認識させられる。「今日調子悪いんで休みますよ〜〜〜」と図太くいられるくらいが、いい感じの自己肯定感の高さなのかもしれない。自分はまだそんなふうにはなれないけれど、今日のところはこの原稿を書いたことでよしとしましょう。

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