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世の中の役に立たないこと。#1

何だかんだ毎日予定があって外出している。

今日は珍しく特に予定がなかったので、「絶対、近いうちに行ってやる」と思っていた耳鼻科と皮膚科をはしごすることにする。

先月下旬から、じわじわと花粉が飛び始め、少しずつだが花粉症の症状が出つつある。生理で肌荒れがひどいので、医療の力を借りることにする。

もう中学生の頃から10年以上通っている隣の駅にある耳鼻科に今年もお世話になることにした。中学時代、ひどい外耳炎になり、最初は家の近所にあるおじいちゃん先生がやっている耳鼻科を受診した。薬を処方してもらったが、外耳炎のあまりの痛痒さに耐えられず、どうしても患部を触ってしまう。触ればいくら薬を飲んでいても効果がないばかりか、悪化の一途を辿るばかりである。当時、「触るから良くならない」ことに全く気づいていない系女子だった私は、いわゆる「ドクターショッピング」で別の病院に行くことにした。そこが、今も通っている耳鼻科である。

(私のせいで)全く改善がみられなかったおじいちゃん先生の病院とは打って変わって、白を基調とした比較的新しい病院によくある感じの雰囲気。待合室の天井付近には、小さなモニターにジブリ映画がエンドレスで流れている。

診察室に入ると、体格のいいコテコテの関西弁の男性医師と、「ゆかちゃーん」と明るい声で声をかけてくる同級生のお母さん兼看護師(ちなみに、未だに受診するとゆかちゃーんと呼ばれる。一体、いつまでゆかちゃーんなんだろう)。診察室で、同級生のお母さんとエンカウントするのは、思春期の自分にとってはなかなか恥ずかしい経験であった。

ひとまず、ここに来る前におじいちゃん先生の病院を受診したことも踏まえ、今までの経緯を先生に説明する。一通り説明を聞き終えると、先生は「あー…」と、なるほどね、といった感じのリアクション。その後、「見して」と顔を横に向け、診られる。ただでさえ、耳の穴を他人に見られることはそうそうないのに、外耳炎で決して綺麗とは言えない耳の穴を見られるのは恥ずかしい。思春期だから、なおのこと恥ずかしい。

怖いと恥ずかしいが入り混じって、だから視診は嫌なんだ、と思った。

視診も終わり、薬はこれとこれ出しとくね、と。ああ、これで良くなると勝手に安心しきっていた私に、先生から最後に一言。

「(患部を)絶対、触んなよ!」

・・・!!! 声量とコテコテの聞きなれない関西弁の勢いに、圧倒されてしまった。そもそも、医師から「〇〇すんなよ!」という口調で話された経験は、後にも先にもこの時だけだ。正直、びっくりしたし、ビビってしまった。

それから、元からちゃんとしていた服薬に加え、先生の教えの通り、患部は一度も触らなかった。すると、あっという間に、あれだけ痛痒かった外耳炎は綺麗に治った。薬よりも、先生のでかい一言が一番効いた。

今では、受診すると、先生に「おう」みたいな感じで挨拶してもらえるようになった。母親が関西人なので、人の関西弁を聞くと自分も関西弁がうつってしまう。だから、診察時は何となくエセ関西弁になっているような気がする。

同級生のお母さんも今も働いている。

今日は休み明けだから、混んでることを覚悟しつつ、それでも行くと決めた時にしか行けないような気がしたので、何時間でも待つつもりで病院に向かった。

病院の前まで行くと、扉にはでかでかと「休診」の二文字。

色々気持ちを固めてきたつもりだったので、少し残念。そういえば、先生は子どもが3人くらいいるから、今日を休診にして4連休にして、家族サービスでもしてんのかな、と思い、それ以上は考ええないで駅前のショッピングセンターの中にある無印良品へ向かった。




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