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神保町ブックフェスの戦利品たち。ユリイカとか。

こんにちは。人間のニンゲンです。

行ってきました。神田古本まつり&神保町ブックフェスティバル。

サムネは「神田古本まつり」のほう。「神保町ブックフェスティバル」と時期も場所もほぼ同じですが、建付けが違うんですね。
実はちゃんと行くのは初めてだったのですが、どちらもかなり賑わっていました。

10/29(日) のブックフェス。すずらん通り中央を出版社のブースの列がぶち抜いてます。
みんな血走った目で品定めをしていました。

やー。みんな本好きなんですね。人の多さもさることながら、客層の幅広さにちょっと驚きました。10代後半~7、80代くらいまでの男女が満遍なく来ていて、お子さん連れの方もけっこういました。
屋台飯も充実してるし(しかも安くて美味い)子供も絶対楽しいですよこのイベントは。

このブックフェスティバル、誰もが知る大手出版社から超マニアックな専門書系出版社まで、それぞれ個性的な品揃えでブースを構えています。

しかもどこも大体5割掛けくらいの値段で本を売っている。玉石混交で、明らかにただの在庫処分だろって感じの商品も当然多いんですが、中には「え、これをこの値段で買っていいの?」っていうものもあります。
流通挟まなければ本ってめちゃめちゃ安くなるんですね。

おそらく出版社の倉庫に眠っていたのであろう、普段あまり市場に出回っていない本も多く出品されます。
つまりは掘り出し品・お値打ち品の取り合いですから、こういう地域軸のイベントとは思えないほど、お客さんたちの目尻は吊り上がって眉根が寄っていましたね。

その中でもちょっと異様な空気のブースがありました。

青土社ブースの「現代思想」「ユリイカ」叩き売り。

もちろん僕も例に漏れず各社のワゴンを睨みつけながら歩いていたら「大江健三郎せんえーん!」って声が聞こえてくるんですよ。なにその失礼な感じのする呼び込みは。と訝しんで行ってみたら青土社ブースに人だかりができていました。

青土社ブース。ここだけ温度が2、3℃高かったです。
タイムセールでこの割引価格よりもさらに安くなっていました。

青土社の文芸・カルチャー系雑誌「ユリイカ」と思想系雑誌「現代思想」のバックナンバーがとんでもない値引き率で売られてたんですよね。例年こうなんだろうか。これは興奮しますね。雑誌としては高めの定価ですし、気づいたら欲しい特集号が店頭から消えていたりしますから。
あと、普段書店で青土社の雑誌買ってる人を見たことがないから「こんなの買ってるの自分くらいなんだろうな」とか根拠なく傲っていましたけど、当たり前ですがこんなに読者いたんですね。恥ずかしい。でもこのブースにいたほぼ全員が同じことを思ってるはず。わかってるぞ。

しかも今年7月に出た大江健三郎総特集号(vol.55-10)も半額以下。「大江健三郎千円」は本当でした。こないだ普通に定価で買っちゃったよ。

ブースは小さく、商品の詰まったワゴンの前で品定めできる人は限られているので、2列目より後ろの人はつま先立ちで覗き込んで前列にプレッシャーを与えるという、なかなか殺気立った空間だったんですが、どの人も吟味した挙げ句口々に「大江健三郎ひとつ」って言うのが面白かったですね。
いやそりゃ買うよなあ。大江健三郎の号ってかなり気合い入れて作られていて、普通のユリイカの2.5倍くらいの厚さなんですよ。それがこの値段なら買わない理由がないですよね。既に買っているのでなければ。


この厚さ。

で、僕は残念ながら大江健三郎は既に持っていたので、ユリイカの田中泯(vol.54-2)と別役実(vol.52-12)を買いました。

両方、本屋で買おうか迷っていたやつなので嬉しい。

2022年に「名付けようのない踊り」という田中泯さんのドキュメンタリー映画がありました。ユリイカもその公開に合わせての特集です。
映画は劇場で観まして、当時の日記を読み返すと「編集と音響の過剰さが煩わしかった」とあり、ドキュメンタリー映画の出来栄えとしては正直いまいちな印象だったようです。
が、田中泯の踊りは凄まじかった。夕暮れどきに海岸の砂浜で踊るシーンがあるんですが、田中泯の身体が夕暮れそのものと一体化しているようで、テクニックとは違う、自然それ自体のような、こんな風に身体を動かすことができたらと強く羨ましくなったのを覚えています。

別役実は、昔実家に戯曲があったので小学生のころに何冊か読んだことがありました。とても子供向けじゃないんですけどね。当時はナンセンスなんて概念を知りませんでしたから、登場人物たちの理解不能な言動がただただ怖かったのを覚えています。

ゴダールの号も欲しかったんですが売り切れていました。

そのほかの戦利品たち。

清水書院の「人と思想」シリーズ

著書を本気で読み込むほどの意欲はないけれど思想や人物像はある程度知りたい、そんなニーズに答えてくれるコンパクトなサイズ感が良いですね。

4冊を総額200円で買いました。カントやニーチェみたいなSクラス知名度の思想家は売り切れてました。
アルチュセールは、御本人がまだ生きている時代に書かれたようです。

どれも1980年頃の版なので情報は古いでしょう。かといって現行の版を新品でわざわざ買うかと訊かれると、個人的な興味としてはちょっと微妙。ですから、この場の巡り合わせがなければこの先一生手に取ることはなかった。イベントならではの買い物ですね。

藤内鶴了「琵琶伝来の淵源」(笠間書院)

定価11,000円が3,000円に。函にちょっと汚れがありますが、本体は超美品です。

実はほんのちょっとだけ琵琶を齧ってまして、といってもど初心者なんですが、琵琶の研究書は珍しいので買ってしまいました。


そんなわけでかなり楽しみました。
今回はブックフェスティバル中心に見たのですが、来年以降は古本まつりもじっくり見たいですね。

それでは今回はここまで。「文学ラジオ」のほうもぜひ宜しくお願いします。

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