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観光地で感覚を研ぎすまそうって話

あなたは旅行中に目的地に向かって歩く時、どこを見て歩いているだろうか。

『るるぶ』やスマホを見ながら歩いている方(観光地みたいな人混みでスマホを見ながら歩くのはやめようね)、食べ物屋や土産屋がないか気にしながら歩いている方、その土地独自のものがないか町並みを観察しながら歩いている方、いろいろだと思う。

いずれにしても、せっかくの旅行なので移動中も感覚を研ぎすまし、違和感があったら立ちどまるくらいの心持ちでいたい(※逆のことをいうが、観光よりも日常から離れてゆっくりすることが主目的なのであれば、感覚を研ぎすまさずにぼーっとしていてもいいです)。

これは三重県・桑名のとある路地。脱色アスファルトに小さな印がついている。

地下水に海水が混じってしまうので、1626年に川から水を引いてきて井戸を作ったといわれる。井戸は一般の地域住民の間で使われ、はるか未来の1962年の工事で再発見された。今は印の石だけ確認できる。

歴史的な出来事の舞台となった城などを訪ねるのもいいが、我々の先祖の大部分は歴史に名前すら残さなかった有象無象の民である。

感覚を研ぎすませ何かを見つけようとしながら歩くことで、はるか昔に民たちが水を求めて作った井戸の跡など、小さな歴史上の出来事の痕跡が見つかることがある。

日本唯一の湖の有人島、滋賀県・沖島にある厳島神社。

そこにあったしめ縄のはられた石。特に説明はなかったが、気になったので撮影しておいた。

あとで確認してみたところ、総本社の厳島神社がある宮島の弥山には信仰の対象になっていた巨石群があり、沖島の厳島神社ではこの石がそれにあたると考えられるようだ。

このように、気になるものに対して文字通り気をとめることによって、何かを発見できることがある。

最後に、気になったのに気にとめることができなかった例もあげよう。

北海道の宗谷岬。日本における、一般人が立ち入れる最北端である。

ここを訪ねる直前の移動中に、海に白い岩がぽつんと浮かんでいるのを見かけた。

妙に白く目立っていたが、海鳥のフンでよごれてでもいるのかなと思って立ちどまりもせず、そのまま通りすぎてしまった。

あとで調べてみたところ、その岩は弁天島といい、北方領土をのぞく日本の最北端だったらしい。時期によっては多くのトドが上陸するという。少し前に礼文島でトドを見ていたので、ここでも島をよく見たらトドが見られたかもしれない。

気づくまではよかったのに、あと一歩感覚が鈍くて気にとめられなかった例だ。

このように旅行中は、感覚を研ぎすませて気になったものに気をとめることが大事だといえる。

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