見出し画像

ルートビアを10年ぶりに飲む

成城石井でA&Wのルートビアを買ってきた。

沖縄の飲み物というイメージだが、成城石井やヴィレッジヴァンガード、ディスカウントストア、沖縄物産展などで見かけるため、沖縄へ行かなくてもその気になれば楽に入手できる。

最後にルートビアを飲んだのは10年前だ。

まずいという前情報は聞いていて、飲んで「確かにまずいな」と思った記憶がある。とはいえ10年ぶりに飲んだら感想も変わるかもしれない。

ノンカフェインと書いてある。同じ「植物を使った甘い炭酸水」であるコーラがカフェインを含んでいることから考えると少し意外だ。健康的な飲料であるアピールをしたいのだろう。

メイドウィズエイジドバニラ(片仮名にするとなんかださいな)という記述もある。熟成させたバニラのことだと思うが、正体はよく分からない。

検索してみたが、「酒に長時間つけこんだバニラのことだろう」と考察した記事が出てきたくらいで、信頼できるソースは出てこなかった。取りあえずバニラを使っていることは分かる。他に何が使われているかは、あとでもう少し見ていくことにしよう。

名前の上には「SINCE 1919」の文字。100年を越える歴史を持つ飲み物のようだ。

公式HPによると、カリフォルニア州の薬局店員、ロイ・アレンが友人の見舞いの際に調合した飲み物が、1919年にジューススタンドで売られたことから始まったという。1922年に従業員のフランク・ライトと設立したのが現在のA&Wだそうだ。

ただ、ルートビア自体はロイ・アレンが開発したものではなく、18世紀アメリカの農場所有者の間で作られていたアルコールを含むハーブ飲料が起源であり、1800年代末期には商品として流通自体はしていたようだ。

元が農場所有者の自家醸造ドリンクなので、決まったレシピはなく様々なアレンジがされていたという。

レシピを見るために原材料を確認したが、ざっくりすぎてさっぱり分からなかった。何となく健康的な雰囲気をただよわせているが、人工っぽさを感じる名称が目立つ。

公式HPを見ると、ハーブなどを多用していることが分かる。

HP上には、バニラ、サルサパリラ、マシュマロウ、セイヨウタンポポ、リコリス、ジンジャー、シュガーケイン、ワイルドチェリーが明記されている。

簡単に見ていくと、バニラは、アイスクリームの味で有名なあのバニラだ。ラン科バニラ属の蔓性植物で、収穫した種子鞘を発酵・乾燥を繰り返すことにより独特な香りを放つようになる。

サルサパリラは、サルトリイバラ科シオデ属の植物で、古くから様々な病気に対して生薬、漢方、ハーブとして用いられている。食品としては、今回のルートビア、ドクターペッパー、亀ゼリーなどに使用されている。

マシュマロウは、ウスベニタチアオイとも呼ばれるアオイ科の植物だ。かつて根から取れるデンプンを利用してお菓子が作られており、それがマシュマロの語源となっている(現代のマシュマロはゼラチンと卵白を使用)。古代エジプトで喉薬として使われた他、喉の痛みを軽減するハーブティとしても使われる。

セイヨウタンポポは、町中でよく見る菊科タンポポ属の植物だ。かわいらしい外見だが根が深くてしぶとく、庭に生えるとなかなか駆除しづらい。雑草のイメージが強いが、葉を食べる他、タンポポコーヒーとして利用されたり、ハーブ・薬草として様々な効果が期待でき、花から染料も取れる。

リコリスは、ここではマメ科カンゾウ属の植物だ。スペインカンゾウとも呼ばれる。甘味料、スパイス、生薬として広く使われており、ルートビアの他には「世界一まずい飴」こと北欧のサルミアッキにもふくまれている。

ジンジャーは、ショウガ科ショウガ属の植物だ。日本ではショウガと呼ばれ、根が薬味として使われる他、そのまま食べられる。世界中でもその辛みと香りからスパイスとして重用されている。臭みのある食材の臭い消しや抗菌作用がある他、様々な効能がある生薬でもある。

シュガーケインは、稲科サトウキビ属の植物だ。そう、つまりサトウキビだ。茎の中心を食べる他、加工して甘味料にされたり、バイオ燃料として重宝される。

ワイルドチェリーはバラ科サクラ属の木である。セイヨウミザクラとも呼ばれ、実はいわゆるサクランボである。

こうして見るとわりと癖が強めの植物が多用されており、独特な風味にも納得がいく。

ちなみに糖分がふんだんに入っているため、青汁などのように健康を意識して毎日飲むものではなく、コーラなどのように、飲みすぎに注意した方がいいタイプの飲み物のようだ。

前置きが長くなったが、取りあえず飲んでみる。

飲んだのは10年前だったが、確かにこんな感じだったなあ、というにおいだ。世間でいわれる通り湿布薬のにおいがする。飲み物のにおいではない。

ただ、これは人の脳の固定観念のせいである気もする。チョコミントアイスが「歯磨きの味がする」と賛否両論なのと同じで、このにおいと湿布薬が脳でリンクしてしまっており、ルートビアを飲んだ時に「これは飲み物ではない」と本能的に拒絶してしまってまずく感じているだけではないか。

外国人が納豆を食べる時や子どもがコーヒーを飲む時と同じで、何度もくり返すことで慣れれば平気になるタイプの違和感だと思う。

あと、においのせいで印象がうすかったが結構甘みが強い。コーラなどと同じく、炭酸とにおいがなければ砂糖水に近い味な気がする。

個性の強いにおいとただただ甘いだけというストロングスタイルな味は、よくも悪くも昔ながらの外国の飲み物という感じだ。

ただ、慣れてなさからくる違和感は感じるもののまずいというほどではないし、逆に同じ値段を払うのであれば無個性な有象無象のドリンクよりは選びたくなるのも分かる気がした。

前回飲んだのは沖縄の美ら海水族館だった(こうして見ると少しデザインが変わっているな)。

繰り返し飲んだり組み合わせる食べ物次第では普通に受け入れられそうな気もするので、ウイルス的なアレがひと段落したら、沖縄のA&Wレストランでハンバーガーにジョッキいっぱいのルートビアというアメリカ人スタイルの組み合わせを試してみたい。

ご支援頂けますと励みになります!