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観光地同士がリンクする

旅行を繰り返すことによる副産物の1つとして、「観光地(または観光スポット)同士がリンクして面白い」というものがある。

分かりづらいので具体例を出そう。

山口県・萩の松下村塾。吉田松陰がここで教育を施した若者たち(伊藤博文、山県有朋、高杉晋作など)が、日本を近代化に導くことになる。

叔父から松下村塾を受け継ぎ、多くの偉人を育てた吉田松陰だが、実はここで開塾する前に事件を起こしている。

静岡県・下田に柿崎弁天島という小島がある。

今は防波堤で地続きになっているこの島が、事件の現場となる。

1854年、アメリカのペリー提督の黒船、ポーハタン号が下田港に停泊していた。

吉田松陰と弟子の金子重之輔は柿崎弁天島から小舟でポーハタン号に近づき乗船した。渡米を試みたのだ。

だがペリー提督に拒否された上に小舟も流されてしまったため、自首することになる。

出獄後、自宅での幽閉を経て叔父から引き継いだのが、松下村塾である。

偉人は大抵バイタリティがすごいので、日本各地で旅行を繰り返すと、このように遠く離れた地で同じ偉人にまつわるエピソードと出くわし、しかもそのエピソード同士がつながることがある。

こんな例もある。

『真田丸』で有名な長野県・上田市。

長野県全体にいえることかもしれないが、そばがおいしい土地だ。

長野県から一気に離れ、ここは兵庫県・出石。

ここもそばが有名だ。皿そばという、小皿に乗ったそばが名物である。

兵庫県の出石でそばが有名なのは、長野県の上田が原因といわれる。

上田藩の3代目藩主、仙石政明が出石藩に国替えになった時、上田のそば職人を出石に連れてきたのだ。

江戸時代に発生した国替えの影響が現代でも残っており、遠く離れた土地に1つの名物を作ってしまっていると考えると感慨深い。

このように、車や電車や飛行機もない時代のできごとが、遠く離れた土地同士をリンクさせ、その影響が現代も残っていることを確認できるのが、旅行を繰り返すことによる面白い副産物の1つだ。

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