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つぶやきからサービスの輪郭をとらえる。

夏前から月2〜3地域のペースで出店を再開し、サーカスキッチンの料理人コーディネート事例が少しずつ増えてきました。さまざまな人とサーカスキッチンを開催する中で、印象に残っているセリフやつぶやきがあります。
構想時には見えていなかった、関わっていただいた方々のリアルなつぶやき。そこから、サーカスキッチンが大事にしたい世界観を言葉にしていこうと思います。

出店の様子はInstagramにアップしています。
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参考にしたのは、wiiの開発者が書いた「コンセプトのつくりかた」という本。この本で行われている方法とは若干違いますが、

①キーワードを集めて
②分類して名前をつけて
③ストーリーを作ったあと
④20文字以内の言葉に落とす

という流れを参考にコンセプトワークを行ってみます。


コンセプトワーク① キーワードを集める

料理人の方と一緒に出店していて、印象的なつぶやきや記憶に残っている言葉があります。その聞こえてきたつぶやきを、ポストイットに書き出していきます。

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・家族旅行なんて贅沢なかなかできない
・作ったものを目の前で食べて喜んでくれるのがやりがい
・今一人でやっている感じがして、場を共有できる仲間がほしい
・飲食業の地位が低い(大卒で飲食業に行くことを親に反対された)
など。


次に地域の方のセリフも。場所を貸して下さるオーナーさんや、食べに来てくれたお客さん、役場の方などさまざまな立場のつぶやきがありました。

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・昼休憩は歩いていける所に店がないから弁当とるんだけど、種類が限られてるから飽きてくる
・素材のいい料理はあるけどファストフードがない
・魯肉飯ってどんな味か知らないから食べてみたくて
・この辺カレー屋がなくて、スパイスを学びたい飲食店の人がいるから紹介させてください
・今回だけと言わず、また来てくださいね
など。


コンセプトワーク② 分類して名前をつける

近いものをグループにして、それに名前をつけていってみます。いったん、こんな分類になりました。

飲食業界で働くことの悩み
料理人と地域が出会う
みんなでワイワイ
料理を楽しむ
主役として楽しむ
料理の選択肢の少なさ
料理で喜ばれて嬉しい
地域内で交流が生まれる
旅行として楽しむ
サーカスキッチンへの期待

想定していたものもありましたが「料理人が主役になれる」ことに価値がありそうなことは新たな発見です。
そして自分や家族の時間がとりづらい飲食業界の事情も。「飲食ってそんなもんだから」という空気もあるのですが、「そんなもんだから」の裏に願望があるなら、それはプロジェクトの原動力になっていくはずです。


コンセプトワーク③ ストーリーをつくる

名前をつけた要素やつぶやきをつなげると、こんなストーリーになりました。荒いし偏りもありますが、完璧に作り込みすぎず、ワークから浮かび上がってきたストーリーを受け取ります。

ある街のレストランに料理人のAが働いていました。ずっと人手不足だったため休みも少なく日々働いていましたが、給料は安く、Aは飲食業界の地位の低さを感じていました。

あるときAに、レストランの無い村へ出張で店を出す機会が訪れました。ボランティアの仲間とみんなでワイワイ、その土地の野菜を使ったり、湧水を汲んで使ったり、料理を楽しみながらつくりました。

普段はレストランの一料理人として働くAが、主役となって振る舞う料理。その村の人は、普段食べに行く店の選択肢が少ないので、Aがつくる珍しい料理を喜んで食べてくれました。「おいしかったです!」「また来てくださいね!」。料理を楽しんでくれる地域の人の顔を見て、Aは街のレストランだけでは満たされていなかったものが、満たされていくような感覚を覚えていました。

村へは泊まりで行ったのですが、思えば長いこと、旅行になんて行ったことがありませんでした。「今度はいつ来てくれるんですか?」そんなお誘いが届いたので、次の出店予定を考えようと思っています。

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コンセプトワーク④ 20文字以内の言葉に落とす

この出来上がったストーリーから、コンセプトを20文字以内の言葉で作っていきます。大事な要素はたくさんありますが、全てをコンセプトに入れることはできません。そこで、優先順位の高いキーワードを選んでいきます。

僕が大事にしたいと思ったキーワードは「楽しむ」でした。そして同時に、これまでの料理人や地域の方の顔を思い浮かべて「楽しませる」という言葉も浮かんできました。

サーカスキッチンは「単に場所を貸せば料理人を呼んでくれる」不動産オーナー向けサービスにしたくありませんし、「単に出店場所を見つけてくれる」料理人向けサービスにもしたくありません。

地域の方、料理人、どちら側にもこの「楽しませる」姿勢があることが、サーカスキッチンが魅力的な場であるために必要なことだなと思いました。

例えば吉野町では地域の方が、滞在する料理人に地元の魅力的な農家さんのコーディネートをして下さいます。料理人も地域の素材を使ったり、その土地で料理をする意味を込めてメニューを考えてくれたりします。お互いが尊重し合いながらサーカスキッチンという場を作って下さっていることが、素敵な場である理由なんだ。キーワードを整理しながら、そんな気付きを感じていました。

なので、僕が考えたコンセプトは
「誰かを楽しませることを楽しむ」
です。


言葉にしてみて。

まだサーカスキッチンは事業化もしていませんし、今後どのようなサービスになるかもハッキリ決まっていません。

ただ、この「誰かを楽しませることを楽しむ」という世界観に共感した人達がつくっている限り、サーカスキッチンは良いレストランであり続けるように思います。

今後言葉が磨かれたり、変わったりすることはあると思いますが、現時点でしっくりくるコンセプト(世界観)が出来ました。

またしばらく動いてみて、経験が溜まったら整理してみて。
これを繰り返していこうと思います。

お付き合いいただきありがとうございました。
では、また!

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