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俺癌〜夫が癌になって〜⑮コロナ禍の入院生活がもたらしたもの

夫が入院中。ベッドの隣で、りんごをむいてます…なんてのは、今はない。

コロナ禍の入院。

家族であろうと、誰であろうとなかろうと、病室には入れない。
着替えはナースステーションに預けて、かわりに洗濯物を受け取る。
夫の顔を見ることはない。
この繰り返しの入院期間だった。

今は、スマホでビデオ通話も出来る世の中。
しっかし、
夫が毎日ラインで送ってくるのは、

朝昼晩の病院食の画像…のみ。

何が楽しくて食べ物ばっか、送ってくんのかいな。と思っていたが、同じ時期(2021年2月初旬)に副鼻腔炎の手術で入院した、わたしの友人の旦那さんも、夫と同じように朝昼晩と病院食の画像を送ってくるらしい。
その画像をわたしと友人はラインで
転送し合いっこした。
……って、うちら何やってんだか。

いい歳をして。


住んでる所が遠方の友人だから入院した病院も違うけど、病院食ってなんかどこもおんなじで笑っちゃう。

画像の傍らに薬の袋、処方箋ってやつね、が置いてあったり、体温計がお箸と並んで置いてあったりって、そんなとこまで同じ。
陶器じゃなさそうな食器もまさに
「それなー」だった。


さて、さて、前立腺がんの術後の合併症のことだが、

術後合併症

手術後の主な合併症には、尿失禁と性機能障害があります。
(1)尿失禁
手術の際に、尿の排出を調節する筋肉(尿道括約筋)が傷つくことで、尿道の締まりが悪くなり、咳(せき)をしたときなどに尿が漏れることがあります。これを防ぐために、できる限り手術中に神経や尿道括約筋の温存を行いますが、完全に防ぐことは難しいのが現状です。尿失禁は、多くの場合手術後数カ月続きますが、半年ほどで生活に支障ない程度に回復します。しかし、完全に治すことは難しい場合もあります。
(2)性機能障害
手術直後は、ほぼ確実に勃起障害が起こります。勃起障害の回復は、神経温存の程度、年齢、術前の勃起能などで異なりますが、完全に戻ることは難しいのが一般的です。ただし、神経を温存した手術後の勃起障害には飲み薬での治療も有効といわれています。
国立がん研究センター
がん情報サービス ganjoho.jp
より一部引用


治るのか治らないのか、曖昧な表現。
まぁ、個人差もあるしね、はっきり治ります。とは書けない。
わかっちゃいる。

尿もれについては、わたしも、少しくらいなら分かる。中年になって、
くしゃみと共に、
「あっ。」

「……。」

出たな。
なんてこともしばしばだから。
…いや、それとはちゃうかな。
たぶん術後の尿もれパッド、使用後はかなり重たいレベル。

しかし、男性の性機能障害は
想像がつかない。どこがどうなってどうやからどうなんだろう。

わたしは女性だからあるものもないし、なおさらわからん。

これも個人差があるだろうけど辛い人は辛いと思う。わからんけど。

この精神的に苦痛を伴う症状を
家族として、どんな配慮をすればいいんだろう。

必要以上に何も言わない事、聞かない事が、かえっていいのかもしれない。
無関心みたいで非情と思われるかもしれないけど、そういう思いやりみたいなのもあってもいいやんな。

コロナ禍の入院生活は、見舞いに来る人もいない。
病院食が楽しみ、なんてのも違うだろう。

じゃ、何を思い、考え、入院生活を乗り切るのだろう。
人生について見つめ直す…なんて人もいるだろう。

夫の入院中のモチベーションは、スマホ片手に画面をスクロール。
「退院したら、これを買おう!」
だった。
人生を見つめ直した結果がこれ。

この小さな画面を『ポチッ』とするだけで何でも玄関に届けてくれるドラえもんみたいな世の中。


後に10万円もするブランドの靴がうちの小さな小さな玄関に置かれることとなる。

それは単なる始まりで
『ポチッ』が、これから先、次々に続く。

宅配のお兄さんと顔見知りになるくらいの日々がやってくることを、この時のわたしはまだ、じぇんじぇん知らんかった。

To be continued

#前立腺がん
#入院食
#前立腺がん合併症
#尿もれ
#性機能障害

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