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【ジブファーラー交換01】雲行きの怪しいフォイルに追い打ちのフォアステイ

ジブファーラー交換00はこちら

注文していたジブファーラーが届きました。
「商品お取り寄せ」になっていた割には意外と早く、僅か4日程で手元に。
お値段も10万円を覚悟していましたが、それより安く入手できましたので良しとするしかないですね。
本当にいいのは、ジブファーラーを交換しなくて済む事なんですが。

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いつもの飛脚のお兄さんが2個口の荷物を届けてくれました。
家人の零下数百度と言う冷たい視線を上手にかわしてリビングに。
2m超の筒にはフォイルが、その他の部品は左側の箱に梱包されているっぽいですね。
家人の視線で痛くなる事はわかっていましたので直接マリーナに送っ…とも思ったのですが、マリーナの屋外やヨットの上でいきなり組み立てるとピンをすっ飛ばしたりとか、絶対何かやらかすのが私の常、家で一回組み立ての演習しておきたかったのです。

注文したのは元々(ビルダーで)艤装されていた物と同じProFurl C260
このC260は6.5mモデルと8.5mモデルの2つの長さがあります。
先週、ヨットから帰る前に艤装されているフォイルの長さを測ると、上から

1,000mm、2,000mm、2,000mm、1,000mm

と言う4本の接続構成でした。
合算6,000mm
恐らくこれにフォアステーエンドのパーツやドラムユニットの長さ(高さ)、フォイル同士を結合するパーツの長さ(高さ)を合わせると6,500mmと言う事なのでしょう(と、この時は思っていました)。
そんなわけで6.5mモデルを注文したわけです。

まずは部品類の箱を開けると、

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ふむふむ、ドラムやドラムケージ、フォアステーエンドのパーツやフォイル間を結合するパーツ、全て揃って…  んん?

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この8番と10番のパーツ、恐らくボルトとナットですかね?
ボルトとナットの仕様(セルフロックとかアーレンとか)は不明ですが、とにかく何らかのボルトとナットが2個セット入っていません。
ナットから突き出したボルトに被せると思われるビニルキャップは入ってるんだけどなー。
非常に残念な開梱結果になってしまいましたが、一時的に止めておくだけなら手元にある適当なボルトで出来ますのでよしとします。
これは通販サイトさんへ問い合わせを入れましたので、後で送ってくれるでしょう。

次にフォイルを出しますよー。

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4本のフォイルが出て来ました。

あれ?今艤装されていてるのは4本で
1,000mm×2本 +  2,000mm×2本 = 6,000mm よね?
今届いたのは…
2,000mm×3本 + 500mm×1本 = 6,500mm 
フォイルの合計の長さはぴったり、たちまち、ジャストで、どう考えても、完全に、紛うことなく6,500mmじゃないですか。
製品の構成が変わったって事かな?500mmのフォイルは使わず、2,000mmのを3本だけ使えば元々艤装されていた6,000mmになるからいいか…

いやいやいやいや!良くないよ!

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2,000mmのフォイルは、その全長全てにわたってジブセイルのラフ部のボルトロープを通すグルーヴが刻まれています。
これをそのままドラムに取り付けると、ジブセイルを取り付けるグルーヴの入口が無くなっちゃいますよ?!
あるいは工夫してフォイルを組み立てながらジブセイルを取り付けたとしても(←そんな事する人はいないでしょうが)、今度は永遠にジブセイルを取り外す事が出来ません。

とすると、この500mmのフォイルは使わざるを得ないので、残ったフォイルを組み合わせて5,500mm(合計6,000mm)を作る必要があります。
2,000mmのフォイル2本で4,000mm。それにドラムにつながる500mmのフォイルを足して4,500mm。つまり不足というか端数は1,500mm。
長さを合わせるには2,000mmのフォイルを500mmカットして使えって事よね?
確かにこんなアルミを切るのは難しく無い気はしますが…

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樹脂製の接続パーツの(艤装された状態で)Z軸方向のねじれ強度を保つためと思われるピン。
このピンの穴、フォイルをカットすると無くなっちゃうんですよね。
フォイルはアルミの押し出し加工なんだけど(←これがホントのアルミホイル)、この穴は押し出し加工されたワークに後から開けてるみたい。
んー、同じ穴を手持ちやマリーナの作業場にある工具で開ける自信はありません。
とりあえずヨットに持って行って、ノリで考えてみますか…
実際にジブセイルのボルトロープ見ながらとか、古いフォイルの再利用とかも含めて何か思いつくかも。

そして翌日、

早速マリーナに来ました。
古いファーラーシステムを外しにかかります。

下の方から外していきますよー。
まずは…

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 ボトムフォアステイエンドの金具のピンを抜いて、金具を外して…

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ドラムケージのボルト2本を抜いてやると、ケージはフォアステイから抜く事が出来ます。

続いてドラムは…

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このセットスクリューを緩めれば外れました。
次にドラムとフォイルを接続している樹脂製のパーツですが、

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コンビネーションプライヤで抉ったり、(絶対やってはいけない事ですが)隙間にドライバを突っ込んで無理矢理外します。
繰り返しますが、真面目な人はドライでスクリューを回す事以外の用途で使ってはいけませんよ!こう言うのはインチキ日曜大工er(「にちようだいかー」と読みます)だけに与えられた特権です。

やっと1本目(一番下)のフォイルを外すと、フォアステイを構成するワイヤーが何本か切れてほつれているじゃありませんか!
びっくりして写真撮り忘れましたよ!
予定変更!今日中にジブファーラーを艤装するのはあきらめてフォアステイを外して持って帰る事にします。

どうせ外すなら先にファーラーごと外して地上で作業するか…と、マストトップのあるスターン側に移動、フォアステイエンドのクレビスピンを留めるリングピンを外し、クレビスピンを抜…

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けません、まったく動かない。
抜ける気配無し。
ハンマーで叩けば少しづつ動きはしますが、それもピンの面とマストが面一になったら叩く事はできません。

壊すか!(←いつものパターン)

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ドリルを引っ張り出して、クレビスピンの頭を削って凹面を

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作りまして、マリーナの作業場から細い烏帽子鏨(えぼしたがね)的な物を借り、凹面に当てて烏帽子鏨をハンマーでガンガン叩く事20分…

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開通!破砕帯を抜いたぞ!これで黒部にダムが作れる!
いや、別に黒部のトンネル(関電トンネル)じゃないか。

因みに、黒部のトンネルは破砕帯の80mを抜くのに7ヶ月かかったらしいです。
つまり、

黒部トンネル、破砕帯の掘削速度
距離:80m = 8,000cm
時間:7ヶ月 ≒ 210日 = 5,040時間
速度:8,000cm ÷ 5,040時間 ≒ 1.58cm/h

トンネルの掘削速度は1時間に1.58cmの速度。
対してウチのヨットのピンはもっと…

今回ピンを抜いた速度
距離:4cm
時間:20分
速度:4cm ÷ 1/3時間 ≒ 12cm/h

あれ?黒部のトンネルよりこのクレビスピンを抜く方が難工事と書こうと思ったら、逆にこっちの方が早かった…
ま、とにかくピンを抜くのも難工事だったんですよ!

そして最後はピンをハンマーで叩いていて、注意していたのに案の定吹き飛ばしてしまい、マリーナのコンクリートという名の海原に沈めてしまいました。

オリジナルがないのに同じ物を探さないといけないのか…

念のため事前に測ったサイズでは8mm径で長さが37~8mm?最悪ボルトで止めておいて、ゆっくり同じ物を探します。

そして地上に降ろしたジブファーラーはフォイルがどうしても外れない、しかもワイヤーがほつれているから細い穴を通らずフォアステイが抜けない。

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「はい、カット!」

別に映画監督になったわけではなく、単にワイヤーを切断しました。
正確な長さはわからなくなりましたが、どうせワイヤーなんか伸びるしいいだろ…(←ノリでいい加減になってる)。

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一応測ってみるか… とラダーの所に固定して引っ張ってみたところ。

いい加減で良いと書きましたが、実際はうちのヨットはバックステイが無いから微妙な調整が出来ないんですよねぇ… シュラウド(というか役割としてはサイドステイ)のテンションで多少くらいは動きますが… 大丈夫かな?

フォアステイは家に持ち帰り、

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50cm毎にマークを付けて測ってみました。

切ったワイヤーも合算すると、穴のセンターからセンターまで、何度測っても

5,940mm

なんですよ…

フォイルの長さって6,000mmじゃなかったっけ?
6,000mmのフォイルに5,940mmのフォアステイが通っている… いやいや、そんなバカな!

考えられるのは
・フォアステイのワイヤーが縮んだ(cmオーダーで縮むとは思えない)
・フォイルの長さを測り間違えてて、実は6mじゃない(これはあるかもなぁ)
・フォイルの中が四次元空間なので距離の概念が違う(論外)

んー、しかし実際に目の前にあるのはカットしたばかりのフォアステイです。
もういいや、この実物を送って同じ物を作ってもらおう。

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宅急便コンパクトに突っ込んで業者さんに送付しました。
これで、完成したフォアステイが短かったら(実はその可能性が捨てきれない)作り直します。
これは授業料も兼ねてる!

なんか今回(毎回?)ごちゃごちゃ書きましたが、ようは

■ジブファーラー
今艤装されている物と同じモデルを買ったのに、フォイルの構成が変わってしまい、ポン付け出来ない。フォイルを切る事になりそう。

■フォアステイ
外して持って帰ったフォアステイが、ジブファーラーのフォイルより短いぞ?いったい何を間違った?まず現物合わせで注文する。間違ってたら来月のお昼はバナナで過ごす。

って事です。

フォアステイってダイニーマの周りに摩擦防止にテフロンとか巻いて使っちゃダメなんだろうか? なんでステンレス限定なの?
誰か教えて欲しい。

ジブファーラー交換02へ続く