主張の彼女(四阿シキ)

女の子にはたくさんの一人称がある。
わたし、あたし、わたくし、うち、自分の名前

と思っていたら、
「男の方があるよ、俺、僕、だけじゃないもん。別に自分の名前言ったっていいし、わたしだってわたくしだって男は使えるじゃない。女はむしろ俺とか僕とか使ったら変な目で見られかねないよ」

と言われた。確かにそうだ。

女の子はお洒落の幅が広い。
スカート、パンツ、アクセサリー、お化粧、髪の長さ

と思っていたら
「幅が広いから求められるんだよ。オフィスカジュアルとか何なのかよくわからないじゃん。選択肢が少ない方がやりやすいじゃない」

と言われた。確かにそうだ。

だが彼女は続けた。
「でも女が俺とか僕とか使いにくいように、男だってスカート使いにくいもんね。服の起源はスカートの形状だとか言うのに」
ごめんね、と。そして、だからさ、と続ける。

「みんな一人称がわたしで、服は一枚布に穴開けて紐で縛る、でいいのにね」

ちょっとそれには同意できなかった。

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