「神様」のゲーム(四阿シキ)

ある日いきなり、声が聴こえるようになった。

「え、この選択肢でいいの?」
「こっちの方がいいんじゃない?」
訳がわからなかった。なんの話だ? 誰が俺の頭の中にいるんだ? 幻聴か? 頭がおかしくなったのか?
「あれ、バグかな、なんかキョロキョロしてない?」
「そういう仕様なんじゃない?」
俺の話をしているのか? バグってなんだ?

数日経っても、その声はなくならなかった。そして俺は同じようなセリフを街中で聞いた。
「え、この選択肢で合ってる?」
「こっちこっち、こっちがトゥルーエンドに繋がるはず」
彼女たちはゲームをしていた。いわゆる乙女ゲームというやつのようだ。

だがしかし、そんな生温いものではなかったらしい。ある日声は恐ろしいことを言い出した。
「この選択肢だったら死んじゃうよ」
まてまてまてまて。え、俺死ぬの?やめてやめてどうすればいい? どうしようもないよ???
うろたえる俺を嘲笑うかのように声は言う。
「まあゲームだし」
といきなり、道の横からトラックが飛び出してきた。考える暇もなく。避けることもできず。ただなすがままに。

次に気がついた時は、自分の部屋だった。俺は死んだのか? これは記憶の中か? ベッドサイドにはポツンとゲーム機が。中には知らない、だがリアルに感じられるようなそうでないような、デフォルメされたキャラクター/人間が一人。

部屋を出ますか?
▶︎はい
▶︎いいえ

さあどうしようか?

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自分が持ってる意思ってのが他から決められたものだったら
こわいなって思ってたのがきっかけです。
「俺」の夢か、はたまた本当に操作され、本当に死に、
本当に操作する側にまわったのか。
好きなように考えていただければと思います。
四阿シキ

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