好きなもので三題噺 #1(四阿シキ)

「恐竜」「壁倒立」「宇宙」

「ねえ君、生まれ変わったら、何になりたい?」
「あの空の向こう側に行ってみ、、うわ、めっちゃ明るくなってきた、なになになになに」
こうして恐竜は絶滅した。

「最近、隕石に殺される夢見るんだよね」
友人が言った言葉に俺はコーヒーを吹き出しそうになった。
「隕石が落ちてくるんじゃなくて? え、殺されんの? 追いかけてくんの?」
あ、いや、、、と彼は続けた。
「落ちてはくるんだけど、その結果あたり一面ってか自分ごとみんな死んじゃうんだよ。地球に落ちてきてその軌跡を見たとかじゃなくて、こう、落ちた瞬間死んだ、みたいなすげえ痛い夢なの」
あはは、と俺は笑う。
「宇宙からの落下物に殺されたいお前の願望じゃね」
「俺は宇宙に行きたいだけで宇宙の浮遊物に殺されたい夢なんて持ってねえ」
物理的にむせた。俺コーヒー持ってんのに。
「手加減してんのは分かってっけど」
俺の小さな抵抗は奴には届かなかったみたいだ。

体育は女子と別々だ。女子は柔道、男子はマット運動のようだ。え、なんで!?
「なんでお前ら柔道なの?普通逆じゃね?」
「普通とかなに。そう言うのを男女差別って言うんだよ」
「いって」
腕がジンジンする。これは男女平等ならやり返していいか?
「なに。男女平等だからって叩かないでよね。あんたの馬鹿な発言に対する罰なんだから」
お前エスパーか?

じゃあまずは2人1組になって倒立をしましょう、と言う先生の掛け声のもと、ペアを組む。
「手加減頼むぜ」
「なんの話だよ」
倒立に手加減なんてもんはないのは知ってるけど、俺は結構コーヒーむせむせ事件を根に持っている。
まずは奴から。お、結構足飛んでくるの怖いな。
次は俺。
足を地面から離す。体が真っ直ぐになるよう、少し勢いをつけて、、、
手加減してもらえなかった。俺にも隕石が落ちてきたようだ。これならボッチで壁倒立していればよかったよ。

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