「誰も使わない」の価値(四阿シキ)
彼女にはおかしな癖のようなものがあった。
あだ名をつけるのだが、そのあだ名は誰にも使われない。
彼女は最近新しくものにあだ名をつけた。
「ソシャディ」
彼女は言う。
「ソーシャルゲームがソシャゲなら、ソーシャルディスタンスはソシャディでしょ」
彼女はあだ名をつけ続ける。他の誰か多くの人がそれを使い始めると、だんだんと使わなくなる。誰も使わないことに文句を言いながら、誰かが使うのは嫌みたいだ。彼女は、作ったあだ名を自分のものとして扱いたいのだろう。
彼女が「ソシャディ」を使わなくなる日は来るだろうか。
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