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どうしよう。日本に帰った時。どうしよう。

日本への一時帰国が確定したとき、あの社会で間違いなく私は浮くだろうと気づき、一気に構えてしまって気が重くなってきた。

同じようにアメリカに何十年も住む日本人の友人二人(元同僚)と最近マンハッタンで会った時、皆口を揃えて、

親に「化粧しろ」と言われ
「そんな格好で外出しないでくれ」と言われ
「声が大きすぎる」と言われる、と一致した。

ゴミ捨てに行くのに、flip-flop (ビーチサンダル)をはこうとしたら注意された、とか。
タンクトップとショーツで皇居の周りをランニングしていたら、じろじろ見られた、とか。

私は、実家の近くの散歩コースをやっぱりタンクトップとショーツで歩いていて、あまりの暑さに道路脇にあった水道で、まるで犬のように頭から水をかぶり、ぷるぷると頭を振って水を切ったのだが(注。当時はショートカットだった)、そのそばを長袖長ズボン帽子日傘の女性が涼やかに歩いていった。

だから、わざわざアメリカから帰るのに、誰も実家に一週間も滞在できない。私も今回は6泊である。

離婚して子供が家を離れて、これで思う存分実家でゆっくりできると思い、春と秋に3ヶ月位ずつ、なんて考えていたのだが、友達に「そ、そんなに長いこと実家にいられるの?」と驚かれた。

確かに、考えてみれば、滞在一週間を過ぎた頃から母が我慢できなくなって、あーだこーだと言い始める。最初は黙って聞いている私も、それが三日続くとキレる。まじで、キレる。

だから10日が限界だったという再認識をして、6泊にした。
もちろん。母は不満そうである。が、お互いのために短いほうがいい。


最近日本に行った友達が、日本は駅員さんとか店員さんとか、客に「親切にすることを仕事にしている人」達は皆なんでも丁寧に教えてくれるけれど、隣に立っている他人に軽く声をかけて質問することは許されない雰囲気だ、と言っていた。

アメリカはまるでその逆である。

どっちがいいとか悪いという話ではなく、私が日本に帰ったときにこの180°の変化に対応順応できるかどうかという問題である。

私は絶対に駅の切符売り場で途方に暮れる。Suicaを買えば何でも乗れる、と言われているが、どうもクレジットカードでは加金できないらしいとか。じゃあどこでどうやって加金するの?
現金なら自販機でできるみたいだし、みどりの窓口とかならできるのかも。
げ、現金?じ、自販機で現金使うの?

どっちが浦島太郎かどこが竜宮城か、わからない。


「日本に行く前に、髪切るの?」と言われて、「は?」と聞いたら、なんと日本の主婦は、皆ショートカットだそうで。加えて、ばっちり化粧しているとかで、もうそれ聞いただけで、私が浮くのは避けられまい。

私もそうだけど、アメリカは Covid のロックダウンで、美容院に行けなくなったことからグレイヘアにする人が増えた。私はそれに加えて、伸ばし始めて、今はもう胸にかかるほどの長さになっているが、あともう5センチくらいは伸ばすつもりでいるし、長いほうが重さで落ち着くからと美容師にもそう薦められた。

見た目は変えようがないし、変えたくないし、仕方ない。
問題は、言動だろう。
私はもう中身アメリカ人だけど、見た目は日本人だし日本語しゃべるから、日本人的に、あまり突拍子もないことをするのは良くない。
表情豊かに、言葉にならない表現をしてしまうのは仕方ないとして、せめて大声になるのだけは避けなければ。涙。

わからないことを聞きにいっても、低い声でマニュアルを暗記してるみたいなスピードで、滔々と超丁寧語で説明されると、私はきっと「は?」ってなる。超丁寧語に神経がいってしまって、肝心の説明自体を聞き取れなくなる。何度も聞き直すと、きっと相手はいらいらしてくるだろうっていう日本人的気配りはできるから、にっちもさっちもいかなくなる。ちゃんとわかってないのにわかったふりして、お礼を言ってそそくさとその場を離れるけれど、わかってないから呆然と立ち尽くす。きっとそういう私の様子を見てやっぱりわかってなかったなって気づくだろう日本の駅員さんは、障害者を助けるみたいな崇高な精神で、私の手を引いて人混みから外れたところで、手取り足取りやり方を教えてくれるんだろうか。涙。

短パンはく季節じゃないのが、不幸中の幸い。だけど、じゃあ何着て散歩すればいいんだろう。Leggings しかないけど、脚の形丸見えだから、やっぱりジロジロ見られるだろう。

もうこのロングのグレイヘアですでに型破りだってわかったから、あとはもう開き直るしかあるまい。

今のうちに泣いておくことにする。泣きながら寝る。おやすみなさい。








ただただ好きで書いています。書いてお金をもらうようになったら、純粋に好きで書くのとは違ってくるのでしょうか。