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ムスコとムスメとその仲間達

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子育て関連エッセイ。現在、ムスコ大学院生、ムスメ大学生。
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#育児

どんな子育てをしたらそんな娘に仕上がるのか。

アメリカの高校生、特に女子高校生は、私の常識と想像を超える言動をするが、こんなにびっくりしたことはない。 水泳の練習で。態度が悪いとは聞いていた。今のチームに移籍したばかりの頃、Avaはうちのムスメととても仲が良かったが、ムスメの方が速いことが明確になり、手のひらを返したように離れていっただけでなく、ムスメに対してあからさまな意地悪をし続けた。 コーチが練習の内容を発表する。レーンごとに100mを泳ぐスピードが違う。AvaがコーチであるPatに向かって、怒り顔でこう言った

大学生のインターンシップ。

今年の夏は、大学生の息子も高校生の娘も、職業経験でもありバイトでもあるインターンシップ (Internship) を経験した。 息子の大学は、たくさんの企業と連携して、このインターンシップの機会を学期中に提供する"Co-op"というプログラムで有名である。大学3年と4年の春学期か秋学期のどちらかに、つまり年の半分をインターンシップに従事する。生徒は大学に寄せられる、もしくは企業のウェブサイトの求人案内を見て、希望職種に各自申し込む。書類審査があって、面接の通知が来る。面接を

話してくれるから、離せる。

私の友達が遊びにくる。ムスメには食事の時は一緒に座りなさいと言ってあるので、部屋から出てくる。並んで座ってぺちゃくちゃとしゃべるムスメとワタシの会話をおもしろそうな顔で聞きながら、向かい側の友達が言った。 「おもしろいー、かわいいー」 「表情とかしぐさとかしゃべり方とか、そっくり〜」 「お客様がきた時に、うちの子達がこんなふうに一緒に座って会話するなんて、想像できない」 ついこの前も、水泳クラブの先輩ママに似たようなことを言われたっけ。 「大人相手に物おじせずに普通に話

シカゴ旅行。郊外で育った歩けないムスメ。

スイマーのムスメは水陸両生物なのだけれど、ひたすら散歩で体を鍛えている私から見ると、陸上機能というか、歩く機能がまるでなってない。 郊外に住むと、移動はほとんど車。親が運転しようが本人が運転しようがそんなことは関係ない。まず歩かない。歩く機会がない。水泳の練習へは車で13分。スーパーも薬局も車で5分。モールは高速みたいな道路を車で10分。町の中心まで歩いたら30分、車で5分。歩くわけがない。 車で5分といっても、大通りと裏道では歩ける環境としての違いはあるし、歩道があるか

シカゴ旅行。Lululemon。

16歳のムスメはLululemonが好きだ。水泳で鍛えた体型によく似合っているし、見事に着こなしている。 この町の若者は、私ですら買うのを迷うほど高価なLululemonを中学生の分際で着ている。ムスメが中学生の頃は、ばかをお言いでないよ、お前たちのような育ち盛りの子供が着るようなブランドじゃない、ときっぱり退けた。ムスメは、納得した上で、従順にAddidasやReabokなどのまっすぐスポーツブランドを着ていた。 私の弟が小さい頃まさにそうだったのだが、欲しいものがある

ムスコが初給料で買ったもの。

ムスコが通う大学は、co-opというプログラムがうまく機能している。大学2年(Sophomore year)が4月末に終わって、4ヶ月の夏休み(夏学期で凝縮授業を取ることもできる)が始まる。9月に始まる3年生(Junior year)の秋学期か春学期に企業で働き、それが授業を取ったと同じクレジットとなるプログラムである。職業体験、インターンシップと言ったらわかりやすいだろうか。これを卒業までに2回か3回やる。実地で働くからその業界、職種で卒業後に就職したいかを判断できるし、そ

アメリカ高校生の実態。基礎編。

女子男子にかかわらず高校生の実態というのは親には未知な部分が多いし、よくわかってなくて当然だと思ったほうがいい。アメリカは州によっても都市によっても町によっても、いや、個人で違うから、十把一絡げに「アメリカの高校生」と言っては語弊があるのだろうけれど、私は自分の子供を通しての経験から書くしかない。 男女とともに、まず学年の中に「人気グループ(bitchy popular girls/fuck boys)」がいる。学年の中心にいて目立ってる連中のことだ。「人気」といっても、皆

子供が運転し始める。(1)

アメリカでは(ん?それとも私の住んでる州?)高校2年の授業でDrivers Ed(ucation)というクラスをとって筆記試験合格まで学校で面倒見てもらえる。その合格証をともに、16歳の誕生日を迎えると、Driving Schoolのインストラクターを雇って(家まで迎えにきてくれる)2時間ずつ3回、合計6時間の路上レッスンを受けて仮免を取得。仮免は21歳以上の運転経験が最低3年ある人が助手席に同乗して、早朝と夜中以外の時間帯に限って運転できる。最低6ヶ月間、実地練習して17歳

子供が運転し始める。(2)

ただですら自分を何様だと思ってる的なムスメなので、いちいち反応すると一日中ケンカ状態になってしまうから、ここぞというときにだけ反撃する。「アンタ、仮免とってまだ3週間足らずでしょう?ひよっこのくせに偉そうな口効くんじゃない!ママが何年運転してきたと思ってるの!」この前は車の中で日清戦争状態(=日露戦争まではいかないレベル)となり「私が運転してる時に怒鳴らないでよ!事故るでしょ!」ときたもんだ。こっちを怒鳴らせるような態度をとるな、である。怒鳴られるから、怒鳴り返すと「どならな

子供が運転し始める。(3)

さて、20歳のムスコの方である。大学2年生が終わって今年秋から3年生。車で4時間ほど離れた州外の大学の寮で最初の一年を過ごし、そこで知り合った同じ工学部の男仲間4人と2年目はルームメートとして一緒に暮らした。大学生になってから帰省するたびに、私の計算通り見事に成長してるのが手にとるようにわかるムスコである。 コイツは家大好きっ子で外食よりも私の手料理を好む。友達のところへ遊びに行くよりも友達を家に呼ぶ。新しいことを始めるのが苦手で、にっちもさっちもいかなくなってからシブシブ

育児的視点から、大学生の扱い方。

日本では20歳だが、アメリカでは18歳になると「成人」扱いになる。投票できる。でもお酒を飲めるのも、運転免許証が普通に横長になるのも21歳から。来年1月に21歳になるムスコはこの秋から大学3年生。5月から4ヶ月間もある夏休みのうち、最初の2ヶ月だけ帰省した。 私が実家に帰った時と同じで、最初の2週間は和やかに楽しく親と過ごす。3週間目に入るとお互いに苛立つ場面が出てくる。当然である。お互い自分だけのルールで暮らすようになったのだから、片方が帰ってきて(侵入してきて)片方のル

子育ての鉄則。自然発生的な罰-"Natural Consequence"

私は相変わらず助手席に座って、私の同乗なしには運転できないムスメに怒られている。一体なんで私はこんなに怒られているんだろうと、家に戻ってきてひとり笑い。 今日はGPS(カーナビのこと。Global Positioning System)で運転していたのに間違えて左折しなかった。ちゃんと曲がるかどうか黙って見ていて(事前に言うと"I know!"と怒られるから)通り過ぎたから思わず息をのみ「そこ曲がり損なったよ」と言ったのに、それでもやっぱり怒られた。 「これから一人で運転

きちんとしてなくてもなんとかなるのは。

アメリカでの生活は、何が起こるかわからない未知の要素に取り巻かれているという感じがする。日本で育った私の目には、たいていが人為的なミスであることがほとんど。時間に遅れる。約束を守らない。予約していたのに予約されていない。決めておいた約束を直前になって変更する。事前に通知されているべきことがされていない。とにかくキリがない。そして、人為的ミスなのに「すみません」の言葉が続くことがほとんどない、といっていい。 今朝も11時から娘は受験する大学に提出する一斉テスト(SAT/ACT

Routine (決まったスケジュール)に慣れすぎると。

毎日決まったスケジュールで暮らすのは心地いい、と思うのはたぶん母親業だからだろう。朝7時過ぎに娘が学校に行く、2時半に帰宅、7時に水泳の練習、迎えに行くのは9時。夕食。それらの合間に私の予定が入る(というか、入れる)。朝ホームジムで運動、友達とのランチ、買い物、医者のアポ、各種業者の出入り。洗濯や片付けは娘が家にいてもいなくてもできる。娘の医者のアポが入ると、行った先の近くで買い物ができないかと考える。普段は遠くて行くのが面倒なお店に寄ってみる。つまり、効率よく行き先を組み合