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僕の新宿大冒険 前編 ~〇〇〇と言われた日~

『〇〇〇じゃないですか…』そう後輩に言われた日の事を今でも思い出す。

皆さまは元気にお過ごしだろうか。
緊急事態宣言が発令され、外出自粛が続き、気が滅入る毎日が続いているのかなと思う。

僕はと言えば、日課の腹筋ローラーと腕立て伏せを欠かさず続けた結果、『下半身の弱体化がひどすぎでは?』と気付き、ランニングでも始めようかなと思っている。

僕は生まれてこの方あまり気が滅入ったことがないので割と毎日元気に暮らしている。
買ったきりやることがないゲームが十数本あったり買ったきり読まずにいる小説が何百冊あったりNetflixもAmazon primeもあるため時間消費には事欠かない生活をしている。

そんな自粛生活でも、やはり思うところはあって、前職の後輩とオンライン飲み会をしたりもしたが、やはり『外で飲みてえよ…』と常に思っているのだ。

何を隠そう、僕はお酒が好きだ。
お酒も好きだし、お酒の場も好きだし、お酒の場でのくだらないコミュニケーションも好きだし美味しいおつまみも好きだ。
もうお酒があればオールオーケー。オールグリーン。全人類大好きだ。
いや嘘だ、前職の部長とかはいつ死んでくれてもかまわない。
ビールも好きだしワインも好きだし日本酒も好きだし最近では焼酎も好きだ。
大学では勉学よりもビールの美味しさと安い日本酒は不味いということと高知出身の一人っ子の女はすべからく最悪だということくらいしか学ばなかった(偏見)

こんな情勢下なので、この状況が落ち着き、早く外でキンキンに冷えたジョッキでキンキンに冷えたビールを飲みカイジみたいになりてえよ!と思っている(脳内では原作ではなく藤原竜也だ)

ただ、やはりお酒を飲まない人や、お酒が嫌いな人には理解してもらえない部分も多く、ましてや『お酒での失敗話』なんていうのは、引かれこそすれ好まれることなど一つとしてないのだ。
これは武勇伝なんかではない、自戒だ。今後二度とこんなことはするまいという、自戒の物語だ。
だいたいこんなお酒の失敗を武勇伝のように語るのは沖縄の成人式で暴れる新成人と電通の社員だけで充分だ(偏見だ)

大学時代は、まあそれなりにお酒で失敗したこともある。
サークルの夏合宿で朝目を覚ましたらホテルではなく浜辺にいたこともあった。前日も色々とやらかし、後輩もドン引きしていたが、夏合宿出発日の朝に、同棲していた恋人と相手の浮気が原因で別れて、その足で合宿に向かったので大荒れに荒れたことは仕方のないことだったと思っている。
なんだったら全力で労い哀れみ、まあ笑って許して欲しいと思っているしお見舞で現金とか欲しいと思っている(その結果一時期ホームレスになったわけだし)

そもそも、その元恋人も浮気相手の後輩も同じサークルで、別れたのをいいことにその合宿中にイチャつき始めたことは今でも許していない(悪魔召喚して血の海に沈めてやろうかなってくらい切り替え早いな)

そういったお酒の失敗も若ければ許されるのか?といえば全くそんなことはないし『若気の至り』と言ってしまえばそれまでだが、若いからこそやってしまったところも多分にあると思うのだ。まあ言い訳だ。


問題なのは、こういう失敗をいい歳と呼ばれる年齢になってもやってしまうことだ。

それは1年ちょっと前、2019年の1月末のことだ。
その日は、土曜日で遊ぶ約束をしており、『昼間から集まってゲームをしながら飲み会をしよう』という名のもと、新宿のパセラに前職の後輩たちと集まった。
僕は、映画を観る予定があったので昼過ぎくらいから参加し、お酒を飲みながら、みんなで持ち寄ったNintendo switchでゲームに興じた。
余談だが、この会はメンツこそ変われど未だに開催され前職を辞めた今でも遊んでくれるのでありがたいことだ。来たい人はどうぞ。

その後、パセラの終わりの時間が来て、居酒屋に移動し、メンバーも入れ代わり立ち代わりしながら、僕の記憶もお酒で薄ぼんやりとし始め、また違う居酒屋に移り、最終的にどこかのカラオケに入った事までは覚えている。
確かにカラオケには入った。

異変に気付いたのはこの後だ。

僕は気付けば寝てしまっていた。気分の悪さから目を覚まし、寝ぼけた頭を少し働かせ、周囲を見る。カラオケの個室ではない、トイレだ。


この直後のことを思い返すと『ああ、毎週末一人で暇だからと映画に通っていて良かったな』と今でも思う。


僕が目を覚ましたのはTOHOシネマズ新宿のトイレだった。
一瞬でTOHOシネマズ新宿のトイレだと気付いた自分をちょっと褒めてやりたいしちょっと気持ち悪いなと思う。

人間というのはすごいもので、この一瞬酔いは醒めたし、むしろビチャビチャに冷や汗までかいた。

…え?カラオケは?

僕は悟った。どうやら、どうやらだ、酔ってフラフラとカラオケ店を出てきてしまった。そうとしか思えない。


焦って自分の所持品を確認する。

財布・・・なし
スマホ・・・なし
上着・・・なし
記憶・・・なし


大問題は新宿の数あるカラオケ店の中でどのカラオケ店に入店し、酔った勢いと失った記憶でどのカラオケ店から出てきてしまったのか、それすらわからないことだ。

上着がないのも問題だ。1月だぞ?死ぬ気か?

まだ回り切らない頭を全力で回転させる。
そもそもこのトイレは映画の半券がないと入って来られないところなんですけど大丈夫ですか。
あれですか、あまりに薄着過ぎて普通に中から出てきた人だと思われたんですか。

とりあえず時間もわからずにトイレからでると時計は深夜1時を過ぎていた。
困った。いや困ったというかあれかな?死ぬのかな?電車ももうないし。そもそも電車があってもお金もスマホも家の鍵もないし。

あるのは羞恥心くらいだ。良かった羞恥心があって。
起きたら全裸とかだったらもう終わりだからね。
いや、まあその場合結果として泊まれる場所はできるのだが(警察のご厄介になるという意味で)

そもそも一緒に飲んでた後輩たちはこんなフラフラのやつが出て行ったことになんの疑問ももたなかったのか?
矛先のおかしい怒りが僕を支配する。後であいつら説教だ。

兎にも角にも、TOHOシネマズ新宿をあとにし、ガタガタと震えながら、当てずっぽうで一番近くのカラオケ店に向かった。

ここから先に関しては僕の言葉のチョイスが圧倒的に間違っていたと思う。反省だ。あれは僕が悪い。完全に僕の悪手だ。相手がネテロ会長なら『そりゃ悪手だろ、蟻んコ』と言われていることだろう。

僕は近くのカラオケ店のフロントのおそらくバイトであろう若者2人に訊ねた。

『あの…いや、酔ってるんですけど、酔ってるのわかっていて、変なこと今から訊くのは自覚してるんですけど…訊きたいことがありまして…僕…この店から出ていきませんでした?』

もう完全に意味不明だ。

若者2人は声を揃えて『は?』と言い、その後『いやちょっとわかんないッスネ』と言った。
それはそうだ、この1月の寒い中薄着の酔っ払いが入ってきて訳のわからないこと言いだしたら僕でもそうなる。通報されなかっただけマシだ。

正しい、君たちが正しいよ!正しい酔っ払いの扱い方だよ!にしても『は?』の時の表情はもう少し優しくできただろ!

僕は中途半端に意識がハッキリしている酔っ払いだったため、あまりの恥ずかしさから『そうですよね、ありがとうございました』と謎のお礼を言いカラオケ店カラオケ747をあとにした。


店を出て周囲を見渡す。深夜だというのに大勢の人間が闊歩し、たくさん人の声が聞こえる。眠らない街新宿。誰か僕を助けてください(主に後輩)

そう、ここから、僕の一夜の(ろくでもない)大冒険が始まるのだ…


~長くなるので、続く~






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