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あれは僕は悪くない その二

一応読書好きを公言しているので、色々な本を読むが、基本的には『これ読みてえな!』と思った本しか読まないし、人におススメされた本は興味が湧けば読む。本屋をウロウロして表紙買いや帯買いもする。

読みたいなという本は、小説でも漫画でもビジネスでも実用でも自己啓発でも、まあのべつ幕無しに手を出すがまあそうはならない場合もままある。

『これを読め』なんて言われようものなら『はあ!?うるSAY‐YO!』となるし横っ面に張り手したくなる。

ましてや嫌いな人間に言われようものなら尚更だ。

Twitterではたびたび触れているが、僕は前職が嫌で嫌で嫌でしょうがなくて転職したが特に嫌だったのはS部長だ。某格闘家と同じ苗字だ。

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ある年の年末休み前に、営業全員にそのS部長から社内メールでビジネス書(?)の羅列と年明けまでにこの中から1冊だか2冊だか読んで来いというメッセージがあった。

まず嫌いな人間のおススメの読み物なんかせっかくの連休に読みたくはないし、僕の頭の中は『社会人として1ナノも尊敬していない人間が薦めるビジネス書を読んで出来上がるのがお前だとしたら絶対読まないわ!!』という想いでいっぱいだった。

これほど純粋な想いも他にあるまい。

時間は有限なんですよね。

有限の時間の中でお前に使う時間は1秒もない。お前はもう死んでいる。

その他の歯車や犬の人たちは口々に『読みました』と報告をしたがその本が一体何の役に立ったのかはその後、半年見ていたがよくわからなかった。

その内の一人は僕が辞める前にウルトラ適当に作ったパワポ資料に『夢がないんだよね』と言っていたので『この仕事に夢とか言ってるのはちょっとなんらかの症状が出てますねー。じゃあお薬1週間分出しておきますね。はい、次の方ー!』と思っていた。

そのS部長には人を指パッチンでで自分の席まで呼び出す癖があったが聞くところによると未だにそうらしい。

恐怖だ。

想像するだけで恐怖だ。

何が恐怖って『あの指パッチンが嫌だ』と言っていた人間達が立場が上がり次々に同じように指パッチンし始めたのが恐怖だった。

パンデミックか?

ゾンビ映画か?

まあただ今思うと、教員の道をやめてあの会社に入ってしまったり、なかなか辞めずに続けてしまった僕も1割未満くらいは悪かったのかなと思う。

9割以上はあの会社が悪い。

前段が長くなってしまったが、まあそんなこんなで今回はタイトルの通り僕は悪くないという話だ(前段長すぎない?)

度々このnoteにも書いているが、僕にはメガネの友人内田がいる。
その① 内田と星野源


その② 内田とお化け屋敷


基本的には僕は内田に滅多に謝罪というものをしない。ほぼしたことがない。

恐らく大学一年に出会ってから本気で謝罪したのは二回くらいだと思う。

しっかりと立場というものをわからせる必要があるため僕は内田に弱い部分を見せない。

それが犬の躾というものだ。

飼い主は毅然とした態度でいるものなのだ。

それでも二回は本気で謝罪が必要な場面があった。

その内の一回は、翌日からのサークルの夏合宿に、朝が早いからという理由でバイト終わりに泊まりに来るという内田のことをすっかり忘れて鍵を掛けたまま爆睡してしまった時だ。

終電で家まで来た内田は深夜に僕の携帯を鳴らし続け、ノックをし、悲しげな鳴き声をあげた。

その後朝4時くらいに目を覚まし、鬼のような着信履歴を確認し、違う友人の家に避難していた内田と合流し、僕は生まれて初めての土下座をした。

まあこれは僕が悪い。

100人に訊いたら120人が悪いというだろう。

僕はその120人を横一列に並べて端からビンタしたい。

そしてもう一つ、内田に真剣に謝罪したことがある。

これに関しては未だに悩ましいというか、僕には確信に近いものがあるのだが…

ある日、内田が僕の家に泊まった日のこと。

翌朝、僕が起きてトイレに向かおうとして立ち上がった瞬間、足の裏に『グンニィ』という違和感をおぼえた。

持ち上げた足の下には内田の命とも言うべきメガネがあった。

言わずもがなフレームは無残にも曲がっていた。

天津飯の膝を喰らったヤムチャの脚くらい曲がっていた。

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内田のメガネを…僕が…

内田と言えばメガネ、メガネといえば内田。

内田家は総メガネ。

前にも言ったが飼っている犬以外全員メガネだ。

僕は素直にそのメガネを内田の前に差し出し、そして謝罪をした。

あまりにも珍しい僕の心からの謝罪に、内田は『いいよいいよ』と言った。

この時の僕には内田が神か仏に見えた。星野源には見えなかった。

そしておもむろにキッチンの方に行き、お湯を出してそのお湯にメガネを浸けながらグニグニと曲げ始めた。

内田は言う…

『メガネはフレーム曲がるのなんてよくあるから。こうやってお湯で直せるんだよ!』と。

なんていい奴なんだ。僕に気を使わせまいという台詞。

いい笑顔だ。

星野源に見えなくもないな。


そして次の瞬間『ポキンッ』という音を立てメガネが折れた。


僕は思うのだ…


止め刺したのは内田だし最終的には僕悪くないよね。

いや、そもそも大事なメガネを床に置きっぱなしにして寝る奴が悪いと思う。

僕は確信する。

僕は悪くない。

誰がなんと言おうと僕に悪いところは微塵もないのだ。

その後どちらが悪いかという押し問答があったのは言うまでもない。

そんな内田も今や一児の父だ。

不思議なものだ。

まあ総括すると前職の会社が全部悪い。

学生支援企業なんか悪いに決まっているのだ。

次回は『僕のホームレス期間と内田家ゴキブリ事件』をお届けしようと思う。

知らんけど。


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