ことばの日
兄さんは大きなくしゃみを一つした。心臓に管を入れる手術をしたばかりなのに元気そうだ。
ツヤツヤした顔をして鼻を拭いた。長生きしそうだなぁと思ったら代わってくれ、などと勝手なことをつい思ってしまう。
医者の話では兄さんは左冠動脈の閉鎖部分にカテーテルを入れたのですぐに普通の生活に戻れるそうだ。
入院も明後日にはできると聞いて、なぜ、自分にはそんな魔法のような治療がないのか不思議な気がした。
目の前の名前も知らないイライラしたようすの医者に自分の話をして魔法の言葉を分けてくれないかと縋り付きそうになった。
しかし黙って話を聞いていると最後に兄さんの生活習慣を見直すようにと…。連絡も取ろうとしない三十過ぎの男の生活態度など、知るかよ!!
と怒鳴りつけたい気分だった。しかし、名前の通り、私は薄っぺら男だからヘラヘラしていただけだけれど…
つづく
大変貧乏しております。よろしかったらいくらか下さい。新しい物語の主人公を購入します。最後まで美味しく頂きます!!