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今日はゴルフ場記念日

登場モノ

高いボール:高いゴルフボールの妖精

古いボール:古いゴルフボールの妖精

池にボールがポチャンと落ちた。

高いボール:嫌だよ、嫌だよ、暗いよ、暗いよ、寒いよ、寒いよ、助けて、助けて…

古いボール:まぁ、まぁ、あなた、少し落ち着きなさいって。

高いボール:これが、これが、落ち着いていられましょうか…

ここは何処なんです?

あなたは誰なんです?

私はどうなっちゃうんです?

古いボール:そんな、いっぺんに聞かれても困りますなぁ。

あなただって即、理解とはいかないでしょう?

高いボール:じゃ、一つだけ、私はどうなってしまうんですか!!

古いボール:そうそう、声が出てきましたね。

あなたは池ポチャしてロストボールになりました。

高いボール:エッ、だって私は高級品で主はかなり奮発したんですよ。

古いボール:まぁねぇ、それがモノの持つ定めだから仕方ない。

いくら安かろうが高かろうが、失くされる時は失くされるんです。

そして、無用となって死ぬんですよ。

高いボール:ウギャ~、まだ死にたくないよぅ~、エッ、もしかしてもう、死後の世界?

ここは天国?違うよな~、こんなに暗くって寒いんだから地獄?

やっぱ、生きている時に安物のボールたちを笑ったのが、悪かったんだ。反省します、反省します。

古いボール:おやおや、勝手にストーリーを作って、まだ生きてますよ、憎まれっ子世に憚るでね。

高いボール:なんだ、なんだ、余計な心配かけさせやがって!!

古いボール:あ~あ、情緒不安定なモノだな、あなたは。私たちはねぇ、池ポチャしたんです。

ですから拾われる日まではここで暮らして、拾われたら、また、陽の目を見ることは出来るでしょう。

高いボール:エッ、それまで待つの?拾われない事もあるの?

古いボール:ええ、そりゃあ、ありますとも。私なんか、創業日に池ポチャされちゃって、ほら、岩のくぼみに落ちちゃったから、気が付かれずに100年が過ぎました。

高いボール:あっ、体が苔だらけで、マリモと言っても間違いない。

古いボール:マリモねぇ~、もうそれでいいと思ってます。

高いボール:あんたはねぇ、それでいいかもしれないけど、私は御免だよ!!

こんな暗がりで一生を終えるような安もんじゃないんだから。

古いボール:その意気、その意気、でないと第二のモノ生、安物ボールとして生きて行かれませんから。

高いボール:あちゃ~なんてこった、たった一打で転落かぁ、因果は巡るね~、やっぱ、あいつらの悪口言うんじゃなかったよ。


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