一度の咳で職を失う話

ついさっき母親から聞いた話。
母親は某百貨店の食品売場、嗜好品コーナーで働いている。
非常事態宣言をうけ今日から全館休業かと思ったら食品フロアだけは営業することになったらしい。
母親は持病で気管支炎があるので仕事中もたまに咳が出ることがある。
マスクや｢自分は気管支炎の持病があります｣｢この咳は移りません｣的はバッジを付けていることを先に記述しておきます。
20年以上もそこで働いているので現場の部長やマネージャーたちはもちろん持病のことは知っている。
歳も取ってきたし体力的にもキツいから何年も前から辞めたいとお願いしていたのに母をいるから通う常連が多数いるために店側は辞めさせてくれなかった。
期待されると頑張ってしまう母だが
｢今日で辞めることなるかも｣
と帰ってくるなり俺に言った。

その辞めることになりそうな出来事の内容はこうだ。
今日も非常事態宣言をうけ客が少なかったのだが、その中で来てくれた客の足を止めさせて商品を買ってもらおうと話している時にそれは起こった。
気管支炎の持病がある母は接客中に咳を一度だけしてしまったらしい。
もちろん客に背を向けて。
その場は何事もなく終わったのだが数時間後にお客様センターにクレームが入ったとマネージャーから言われたという。
｢この非常事態宣言ほどのコロナウイルス騒ぎの時期に咳をする販売員を売場に立たせるって非常識ではないか｣
こんなクレームを受けて店長、部長、マネージャーで会議をして出た結論は
｢明日からしばらく休んでください｣
ということ。
それを言われた母は表情には出さなかったが内心は怒りで煮えくり返ってたらしい。
辞めたくても辞めさせてもらえなかったのに咳一回で簡単に見捨てるのかと。
確かに敏感な時期ではあるが持病のことも一切説明せずに｢明日から出勤させません｣とクレーム主に連絡を入れたようだ。
母は定時まで仕事をして私物を全部持って帰ってきた。
もうこのまま辞めようと…。
明日は母の上司にあたる社員が出てきて再度話し合うようだが母としてはそんな弱い部長、マネージャーのところでもう働きたくないと言ってるからどうなることやら…。

百貨店というのは体裁を気にするから客からクレームを言われてら理不尽でも従ってしまうんだよな。
俺も百貨店に勤務してたからどこの百貨店社員がクソなのはわかってる。
俺も前職でそこに出入りしてたからその部長たちがクソなのは知っているが改めて認識した。
ピリピリしてる現在でこうやって職を失っていくこともあるんだな。

ちょっとわかりづらい文章になったけどうまく頭の中で繋げてください。