いつか、忘れてしまうよと、この感情を、この物語を、僕が僕のためだけに書いたものたちが、誰かの手に渡っていくこと。
正しい、解え、なんて。
あるはずがないのに。僕らは正解を求めている、正解があるのだと思っている。誰かの手に渡ったら、もう其処で僕の関われる領分は過ぎたのだ、確かにそれは僕の物語のままだけれど、同時に貴方の物語にもなったのだ。
いつか、忘れてしまうよ、と。
これが愛だったこと、愛と呼べてしまうこと、そんな残酷な世界のこと、僕の指先がすり切れるくらいに紡いだ物語が、それでもどうしようもないやさしさを求めている、こと。

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