ネオンが消える、

寒い、ような気がする夜だった
何処までも貴方が満ち満ちているような
心地の悪い夜
わるいことはしていません
ひとのものはとっていません
わたしのものだって
ほしいというならさしあげます
呪文のように繰り返して
貴方が愛だと言うそれを受けないように

頬は痛くなかった
痛くないのが当然だった
だと言うのにわたしの耳は
キンキン鳴って仕方ない
思い出せとでも言うように
鳴って 鳴って

寒い、ような気がする夜だった
何処までも貴方が満ち満ちて
逃げ場がないような夜
呪文は擦り切れて効果を失って
貴方の屍がリビングの真ん中で揺れている

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