雨と踵

空き缶を投げ捨てた
青い水たまりが濁って
明日の予報がおじゃんになった
傘はいつだってくるくると
どうしようもない未来を夢見ている
カラフルなものが良かったな、なんて
削ぎ落とした顔で笑ってみせる
本当の顔を忘れてしまったよ
そんなことなら馬鹿のままで良かったよ
何が正しいのかなんて
真っ白な面をつけては悩んでいるふり
窓を開けたら風が吹くなんて
そんなのはまぼろしだ
カーテンはちらりとも動かないまま
首都高の灯りを求めている
さよなら、
それを言えなかった亡霊たちのお帰りだ
墓石に名前も刻めない愚か者たち
僕らは何処へも行けないまま
自堕落に玉を追っている
点数をつけている
何にもならない今を混ぜ込んで
薄っぺらい現実を破らないように必死だ
氷よりも砕けやすい
冬の間際に遺された君を
殺さないように必死だ

空き缶の転がる音がきんきんと
路上にこだましては消えていった

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