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no name

誰もいない世界のことが嫌いだ、
だってそれは誰の所為にも出来ないということだから
夜の空は黙りこくって
この階段の向こうには何もなくて
鍵とチェーン
錆びついたもの
忘れ去られたもの
お前も一緒だね、なんて冗談でも言えなかった
忘れてはくれない世界
誰かの何かでしかない世界
此処は自由のありさま
それでも僕は動けない
誰でもないあなたを
僕は殺して回りたかった
どうしようもなくサイレンの中で
こどものように駆けずり回ってみたかった
あなたも、あなたも、あなたも、
誰かでしかなくて
僕を付属させる
ものでしかなくて
このてのひらにあるのはがらくただけ
この背中にあるのは肩甲骨だけ
羽根などないよ、
天使ではないから
速報が流れる
緊迫した空気は流れない
本日は晴天なり
雨の茹だるアスファルトで
僕らは静かに死ねるのを待っている
のこぎりは要らない
解放も要らない
ただ欲しいのは

僕の名前だけ

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