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【本】黒沢清・篠崎誠「恐怖の映画史」

先日、新文芸坐で行われた特集上映「篠崎誠による黒沢清三昧」へ行ったことで、久々に読み返してみましたが、やっぱりめちゃくちゃ面白かったです。
黒沢清監督と篠崎誠監督が、好きだったり影響を受けたりした、恐怖映画についてあれこれ対談形式で語るというもの。怖がらせる演出が優れているシーンや、印象的な場面などを挙げ、監督目線を交え語っていきます。
何より2人とも(特に篠崎監督)楽しそうで、喫茶店などで好きな映画についてだらだら喋ってるのを、近くの席で盗み聞きさせてもらってるような気持ちになります(笑)
「四谷怪談」は異なる監督による作品がいくつかあり、それぞれ伊右衛門のキャラクター設定などが違うとのことで、見比べてみたくなりました。また、「マタンゴ」という作品についての話も興味を抱くような内容で、見たくなりました。
ほかにも、黒沢監督に多大な影響を与えたというジョルジョ・フェローニの「生血を吸う女」や、篠崎監督がお勧めしていたラリー・コーエンの「悪魔の赤ちゃん」シリーズなども面白そうで、チャンスがあれば見たいと思いました。
個人的にしびれたのが、黒沢監督が「悪魔のいけにえ」で知られるトビー・フーパー監督に会った時のエピソード。黒沢監督の今までの著書やインタビューなどで、度々名前を挙げているリチャード・フライシャーについて、初対面時にフーパー監督が、何の前ぶりもなく会話の中で唐突に、評価すべき監督としてフライシャーの名前を挙げたそうで、その時の様子について黒沢監督が語る場面は、何だかよくわからないのですが、こっちもうれしくなります。
また、最後の方の章では、黒沢監督のいくつかの作品と共に、監督が影響を受けたであろう過去のホラー映画を取り上げ、類似する場面を比較ながら語り合っていて、改めて黒沢作品を見返したくなりました。
ホラー映画はあまり詳しくなく、知らない固有名詞もたくさん出てきますが、それでも十分楽しめる内容で、自分自身何回も読み返しています。
個人的には、たとえ雑談でも、映画が好きなこの2人の監督が語るものであれば、それだけでも絶対めちゃくちゃ面白いので、ほかにも対談本を出してもらえたらうれしいのですが…。電子書籍だけでいいので、「活劇」「アメリカ映画」「ヨーロッパ映画」など、ざっくりとしたテーマで、2人がざっくばらんに映画を語るような本を読んでみたいです!

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