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「くすみピンクって言ってもいいんだよ」

※少し極端な意見や、親から言われた嫌な言葉が書かれています。苦手な方は読むのをおやめください。

タイトルの言葉は、大学の友達に言われてすごく印象に残っている言葉です。

友達と買い物に行ったときにくすみピンクのかわいいニットがあって、「くすみピンクかわいい~」とつぶやきました。言った後で、恥ずかしくなって「くすみピンクなんていっちゃったよ!」って笑ってごまかしました。その時に、友達が「なつほちゃんもくすみピンクって言っていいんだよ」って言ってくれて、なぜだかすごく泣きそうになってしまいいました。

どうして「くすみピンク」って言えなくなったのか

端的に言うと「恥ずかしいから」です。ただのピンクなら、だれでもつかう言葉だし、コーラルピンクとかでもちょっと色に詳しい人だな、くらいで済むんです。でも、「くすみピンク」っておしゃれな感じがするじゃないですか。こなれ感があるというか。
その言葉をサラッといってしまったことで、こんな私がこんなおしゃれな言葉を使ってしまった、って恥ずかしくなってしまいました。

その「恥ずかしさ」の理由は、たぶん二つあります。

自分のキャラと違う

私は友達からよく「面白い」といわれます。
そんな面白い私が、かわいいのが好きだったり、おしゃれするのは恥ずかしい。他の人から「いつもと違う」「面白いと思っていたのに裏切られた」「痛い」と思われたくない。他の人からどう思われるのか、異常に気にしていました。

その考えは、他の人にも及んでしまっていました。(この話、あまりにも考え方がひどすぎて過ぎて、誰にもしたことがありません。引かれたらどうしよう。)
女芸人の方がダイエットをしてかわいくなったり、かわいい恰好をしていたり、頭ではかわいいな、素敵だなと思うのに、心のどこかで「面白い人なのにかわいくなろうとしていて痛いな」と思っていました。
私自身がこの考え方を持っていたので、他の人も当然そう思っているのだろうと思っていました。

小学校~高校での親からの言葉

一番はこれが原因かな、と思っています。
Twitterなどでもたまに話題に上がっているのですが、年頃の子供がおしゃれをした時に「色気づいたね」という親。うちの親もまさしくその典型でした。

友達と初めて百均でネイルを買って付けた時、化粧水を初めてつけた時、父に「色気づいたね」といわれました。
フリルのついた服など、かわいい印象の洋服をきて出かけようとしたら「男と遊ぶのか」と父にいわれました。
腕の内側をなんのきなしに吸っていたら跡ができてしまって、「それキスマークでしょ、いつも図書館で勉強してるとか言ってるけど本当は男と会ってるんだ」と母に言われました。
スカートやピンクの服を見ているだけで「女になったね」といわれる。買ったことはありません。
他にもいろいろ。ずっと覚えていてたまに思い出して吐きそうになってしまいます。今はだいぶ落ち着きましたが、今の私にも十分に影響を与えている言葉たちです。

言われるたびに嫌悪感はあったけど、「私がおしゃれをするのは変なんだ。おしゃれは男のためにすることだし、女らしくなるのはからかわれることなんだ」って心の奥でおもっていました。(そのくせ、言葉遣いとか趣味とか、「女の子なんだから○○しなさい」って怒られてきました。今思うと、都合のいいように性別を使われていただけなんだな、とわかります。)

だから、私が女らしい言葉を使うのは恥ずかしい。おしゃれをするのは男性のためだから、男に媚びたようなこと(化粧やおしゃれ、ダイエットなど)は恥ずかしいと思っていました。某化粧品ブランドの「女の子は楽しい」というフレーズにも、ずっと違和感を感じていました。

だから、「くすみピンク」という言葉を使ったときも、かわいい言葉を使う自分は女らしくて気持ちが悪い、恥ずかしい、と思って慌てて否定してしまいました。

そんな自分を見透かされたような気がした

私は否定してもらいたかったわけではありませんでした。ただ、私なんかが、という恥ずかしい思いと、もし友達に「私の発した『くすみピンク』」に違和感を感じさせたらいやだな、いつもの私と変わらないと安心させたいな、という思いで、息を吐くように出てきてしまった言葉です。

大学生になって家から出て、この呪縛から解かれたと思っていました。1年間一人暮らしで買い物も自由にできて買ったものに文句も言われない。自分の好きな服を着て、ピンクはまだ着ることができないしスカートをはく時も緊張してしまうけど、ピンクのメイクはできるようになっていました。
なのに、「くすみピンク」ひとつ言葉にできないくらい、まだとらわれていました。すごくショックでしたし、自分の嫌な過去やおぞましい考え方を見透かされたような気がして、とても恥ずかしくなってしまいました。

今のはなし

この言葉を言ってもらったのは1年生の冬頃です。それから3年くらいたって、今では多分、あまり躊躇なくくすみピンクを言えるようになったと思います。
かわいいと思ったら自分に取り入れることもできるようになりました。スカートも大好きです。まだピンクの洋服は着たことがありませんが、最近「ローズピンク」がすごく好きなので、今年は買って着てみたいと思います。

他の人に対する考え方も大きく変わりました。女性も男性も自分の好きに素直になっていい。かわいくなってはいけない人なんていないし、逆にみんながみんなかわいくならなきゃいけないわけではない。全部自分のため。当たり前のことですけど、やっと考え方を変えることができました。私も、今は基本的に自分のためにダイエットも化粧もおしゃれも楽しんでいます。


友達の言葉で、自分の卑屈さやバイアスに気が付くことができました。私も「くすみピンク」という言葉を使ってもいい、そもそも「くすみピンク」という言葉を使ってはいけない人なんていない。当たり前のことなのに、大学生になってやっと気づくことができました。
私のつぶやきもちゃんと拾ってくれて、自分の意見を伝えてくれる友達に感謝しかありません。ずっと仲良くしてほしいです。

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