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香港満腹興奮渾沌徘徊記(後編)

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3日目

香港式モーニングからスタート。迷いに迷って、ポーローパオとコーヒーを注文。友人たちが頼んだものをおすそわけしてもらう。

高菜と干し肉入りの出前一丁に、モーニングでついてくる目玉焼きとスパムを投入したものがめちゃくちゃ美味しい。こちらでは外食でインスタントヌードルというジャンルが確立されており、しかもそのインスタント麺は「出前一丁」!

また、別の友人が頼んだフレンチトーストは脳天を直撃する美味しさ。油で揚げたフレンチトースト(!)が、バターと甘いシロップでヒタヒタしみっしみになっているのだ。前日に食べたポーローパオを罪と称したが、ぬるかった。香港式フレンチトーストがナンバーワン・罪だ。この美味しさはもう動物である以上抗えない。繊細な味付けも高級食材も、生命維持に必要不可欠な油と糖の前には無力…

そんなことを熱く語っていたら、友人に「ポーローパオ片手にフレンチトースト食って、なんかおもろいな…(※ここでいう関西人のおもろい=間抜けやな、の意)」と呆れられる。

関西弁のほうの友人は仕事があるのでここで別れて、彼おすすめの「香港故宮博物館」へ向かう。

旅先で博物館はあまり行かないのだが、ここは本当に行ってよかった。中国王朝の各代の宝物が目白押しだ。きちんと見るなら1日はかかるだろう。

紀元前2000年前に作られた土器などが1600年代の陶器の横にしれっと展示されているのにも、その洗練されたデザイン性にも度肝をぬかれる。

博物館の展示の仕方も面白かった。寝そべって見上げながら鑑賞するもの、筒のようなものに入り音声つきで見られるものなど趣向が凝らされている。

この博物館の設立背景には政治的意図もあるようなのだが、数々の壮麗壮大なコレクションを見れば確かにこれは活用しない手はないな、と納得してしまう。

博物館の次はお昼ごはんへ。海老ワンタン麺が食べたいというと、友人がおすすめの店に連れていってくれた。行列ができていたが、回転がはやく15分ほどで順番が来た。海老ワンタン麺はワンタンがプリップリで美味しい!スープも優しい味。

卓上の壺の中身を見ようとしたら、相席で向かいに座る女の子が日本語で「カライヨ」と教えてくれた。香港に住んでるの?と聞くと韓国から1人旅中のようで、英語と中国語は話せて日本語も少しならいけるそう。海老ワンタン麺のことを「めっちゃ美味しい、とても美味しい」と言っていた。

店のすぐ近くに世界一長いエスカレーターがあるので乗ってみたり、学校(?)をリノベしておしゃれなショップが入るスポットをのぞいたりしつつ、トラムで香港大学近くの中国茶館へ。

お茶とスイーツのペアリングの店で、内装も外装もとってもおしゃれ…!私は金木犀のお茶とアイスクリームのセットにした。

香りがとてもいいうえに飲みやすくてぐいぐい飲んでしまう。アイスクリームの上に散らされた金木犀の花もすてきだった。卓上にポットと水があって、二煎目以降は自分でお湯を注ぎ放題。気づけば2時間くらいお喋りしていた。

店を出て、夜景を見るためにビクトリア・ピーク方面へ。昨日と同じく、夕方の優しい光に包まれる香港の街はやっぱりノスタルジックだ。

ピーク行きトラム乗り場に向かうバスに乗ったのだけど、これがとても楽しい!二階建てバスの一番前×山道×そこそこのスピードで、香港のマンション街をすり抜けるジェットコースターのようだった。

ビクトリア・ピークには専用トラムで向かう。山道をほぼ45度の角度で登るので、これもちょっとしたアトラクションのようだ。友人と「いまブレーキがきかなくなったらどうするか」と雑談していたらあっという間に頂上についた。

香港100万ドルの夜景は美しかった。函館や稲佐山、六甲の夜景は「風景としての美しさ」だったけれど、香港の夜景はやっぱり「人の営み」
を第一に感じた。経済と暮らしの夜景だなあと…。

今っぽい撮り方をやってみたくて友人を付き合わせる


夜景を堪能後に下山。香港名物の釜飯を食べるために香港島へ。いままでは毎回地下鉄だったが、今回はフェリーで向かう。

フェリーから見る香港の夜景は素晴らしく美しい。水面に光が反射するせいか、山の上から見る夜景よりもさらに煌びやかに見えた。友人の同僚には、フェリー通勤しているひともいるのだとか。ロマンチック過ぎるでしょ…!

フェリーとバスを乗り継いで、モンコックの釜飯屋「興記菜館」へ。

釜飯のメニューがとにかく豊富で、釜飯だけで4ページくらいある!定番の干し肉入りから、カエル肉入りまで。悩んだすえに、生卵入りの牛肉釜飯、シャコのガーリックフライ、インディアンレタスのにんにく炒めを注文。も〜〜〜全部美味しかったよ…

ネオン看板のある道を通りながら帰り、途中でゲーセンを覗く。(ここもおじさんの聖地だった)SEGAやKONAMIなど日本のゲーム台が日本語仕様のままおいてある。プリクラなどはない。

モンコック駅で解散。食べたいもの行きたい場所全部叶えてくれて、しかも多分私がネオンを見たがっていたのでネオンのある道を通ってくれたであろう友人に多謝(※)!!

※香港では友人2人が広東語で通訳してくれた。初日に「マンダリン(謝謝や你好などのいわゆる中国語)はあまり使わない方がよい」と教えてもらい、「ムゴーイ」と「ムゴーイサイ」と指差しで乗り切っていた。

ムゴーイはこれひとつで「すみません」「ありがとう」を兼ねる便利な言葉だ。ちなみに「ムゴーイサイ」はムゴーイの丁寧語。「多謝(ダージェ)」との違いは、「ムゴーイ」は「してもらって当然のことに対する儀礼的な礼」で「ダージェ」は「プレゼントなどに対するガチの礼」だそう。

4日目

この日だけ1人行動。といっても朝食を食べるだけ。昨日友人が食べていた出前一丁があまりにも美味しかったので、別の店で注文する。昨日の店よりもハードルが高くて苦戦したが(メニューに写真がない、メニューが小さくて指差ししてもどれをさしているか伝わりにくいetc.)、無事注文できた!

ホテルに帰りがてら寄り道をして、市場を見たりお土産を買ったりした。市場では豚足がバーナーで炙られてその横に切り落とされた豚のあたまが鎮座していたりと、つくづく生きているナァという感じだ。

11時にチェックアウトして空港へ。飛行機がまさかの2時間遅延になり空港で時間をつぶすことになったが、時間がなくてドタバタするよりはずっと良いと思いながらこの日記を書いている。次に香港にきたらマカオと離島に行くぞ!

所感

香港の人たちは(観測する限り)ごはんをちゃんと食べていていいなーと思う。朝から満席の飲茶、早朝から深夜まで営業しているごはんやスイーツの店、マックのハンバーガーにかぶりつきながら通勤するひと、建物の間で立ちっぱなしで朝食のパンを齧るひと、街角を曲がるたびに現れる食材市場。コンビニの棚には一応日本のSOYJOYやクリーム玄米ブランがあったのでそういったものを買う人もいるのだろうけど、ちゃんと食べて働いて稼いで生きている感じがいい。

また、街や人が合理的だなーと感じた。エスカレーターは日本の1.5倍速くらいの速さだし、飲食店は相席が基本だし、お店は長年愛されていようがいまいがどんどん入れ替わっていくし、食べているそばから食器は下げられ途中会計もあるし、コミュニケーションを最低限にするためにあんまり返事をしない笑(これは大陸でもその傾向があるらしいのだが)

家事もアウトソースが一般的なので(イギリスの影響も受けているかもしれないが)、フィリピンなどからやってきた女性たちがメイドとして働いている。週末になるとメイドの女性たちが繁華街のあちらこちらでシートを広げ仲間たちとピクニックをしている。前編に書いた通り家賃15万円でシャワールームが望めない相場なら、この人たちはどこに住んでいるんだろうか…と思ってしまう。



美味しいごはんとノスタルジックな風景にあふれた香港、また行きたいな。

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