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コーヒーのおとも

日に日に寒さが増してきた。
アイスコーヒーは無自覚のうちに飲み納めし、毎日ホットコーヒーを飲んでいる。

いまではすっかりコーヒー党だが、実は社会人になるまでコーヒーが飲めなかった。

ある時コーヒーの会社さんとお仕事をご一緒したことがあり、さすがに担当営業として飲めないわけにはいかない…と気合いで飲んでみたら、いつの間にか克服していた。

こだわりも知識もないけれど、「浅煎りよりも深煎りが好みだな」とか「ミルクも砂糖も入れない、ブラックコーヒーが一番好きだ」とか、なんとなく分かってきた。

コーヒーが飲めるようになってから、「この食べものとコーヒーってこんなに相性がいいの!?!?」という新発見もあった。

「ごはんのおとも」ならぬ、「コーヒーのおとも」だ。

例えば、あんこ。あんこがこれほどコーヒーと合うとは知らなかった。考えてみれば、あんこは香ばしいほうじ茶や少し苦いくらいの濃いめの緑茶と合うのだから、コーヒーと相性が良いのも納得だ。

それに気づいたのは、父のおかげだ。私の父は昔からのコーヒー党で、昔から母や弟にコーヒーを振る舞っていた。私もコーヒーが飲めるようになったと伝えた時はとても嬉しそうにしていた。

以前父と登山をした。山頂に着くやいなや、父はリュックサックからいそいそとコーヒー道具一式を取り出した。

一度に一杯分のお湯しか沸かせないから、一杯目のコーヒーを先に私にくれた。リュックサックから取り出したもみじまんじゅうを添えて。

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登山で疲れた体に、コーヒーのあたたかさとあんこの甘さが沁みた。あんこのこってりとした甘さが、コーヒーのおかげでほどよく中和されて、しみじみとした美味しさだった。

以来、コーヒーのおともにおはぎや大福、たい焼きなどを選ぶことが増えた。癒されると同時に、あんこの糖分とコーヒーのカフェインで頭が冴えるような気もするから、頭を使う仕事をするときによく助けられている。

盛岡の喫茶店「六月の鹿」でいただいた、「栗の渋皮煮とコーヒー」も忘れられない。

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フォークで渋皮煮を一口分ずつ切り分けて、コーヒーをちびちびと飲んだ。11月初頭、冷え込みの厳しい盛岡の街で凍えた体がじわじわと温められるようだった。

「コーヒーのおとも」の代名詞的存在である「ドーナツ」は、やっぱり代名詞にふさわしくコーヒーとの相性はばっちりだった。

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もはや、コーヒーが飲めるようになる以前、私は何のドリンクとともにドーナツを食べていたのだろうか。思い出せない。恐ろしいことに、あまりに相性抜群だから、コーヒー嫌いを克服してからドーナツを食べる頻度も増している。

「ティラミス」もコーヒーの素晴らしいおともだと思う。ティラミスはもともとコーヒーシロップが入っているのだから、相性がいいのは当然なのかもしれない。

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こうした洋風スイーツを食べるときは大体紅茶を合わせるけれど、ティラミスを食べるときは迷いなくコーヒーを注文する。

特に、スポンジにたっぷりブランデーが浸み込んでいたり、ラムレーズンが入っているタイプのティラミスは最高にコーヒーと合う。

ふと「少しほろ苦い甘さのほうがコーヒーと相性がいいのかも?」と考えたときに思い出すのは「クルミッ子」。ほろ苦いヌガーの中に刻んだクルミをたっぷり入れて、クッキーで挟んだお菓子だ。

パッケージの素朴なリスのイラストがかわいらしい。冬の雨の日なんかに、温かい部屋でコーヒーとクルミッ子を脇に置いて読書でもしたら、すばらしく豊かな気持ちになる。お疲れの人におすすめしたいコーヒーのおともだ。

甘いものばかり挙げてきたけれど、「たまごサンド」とコーヒーの組み合わせが私は大好き。写真は関西風のたまごサンドだけれど、つぶしたゆで卵をマヨネーズで和えたたまごサンドをコーヒーのおともにしている。甘じょっぱいたまごとふわふわの食パンを食べたあとの口に、ホットコーヒーの苦みが広がる瞬間の幸福さはなんとも言いがたい。

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週に最低2日はたまごサンドとコーヒーを朝食にしている。これほどの幸せがコンビニで手軽に買える世の中、ありがとう。

コーヒー党になってから、太った。一見謎の因果関係だけれど、こうしてみると当然の帰結だ。「相性のいいものが大体ハイカロリーだから太る」のだ。

それでもコーヒーが飲めるようになってよかったな、と思う。コーヒーと合わせるとおいしさが一層引き立つ食べものがあること、父の淹れたコーヒーの味、寒い日に駆け込んだ喫茶店でコーヒーと甘いものを食べるとどれほど身も心も温まるかということ、「一区切りしたらコーヒーを淹れておやつを食べよう」と思うと仕事をばりばり頑張れること、そのどれもコーヒーを克服したから知れたのだ。

まだまだコーヒービギナーなので、これからも新たな「コーヒーのおとも」との出会いがあるのだろうな。楽しみだ。

(日に日に寒さが増してきたので、皆さんもコーヒーなどの温かい飲み物とそのおともに癒されてください☕)

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