六石(席)目。 bed side編
あー！昼から瓶一本付けてえなあと。
昼酒飲むのに最早、理由なんて要らない。
昼だから呑む。それだけ。
俺はビン蓋の星を昼から散りばめるロマンチストなんだ。さあ飛ばしてゆこう。
果てさて何やら、トウキョウシンキカンセンシャとか云われる呪文が巷で流行っているらしい。今日も俺はガサツに生きてやっているのだが、この罹るか罹らないかの''丁半ism"に左右されていては、先が思いやられるわけで、いかにこの呪文を解くことが最大の難点。どうにかしてコイツに縛られずに呑むには一体どうしたら良いかと、熟考する。出来れば2、3本ゆきたい。ビン蓋星が３つ並べば瓶ビール座になる。それ以上呑むとサイフにもアタマにも異常をきたし、お星様になってしまう危険性もある。ここまでの作戦は非常に良い。ちゃんと終わりが見えている。でも、始まりが全くもって一切見えない。どうするか。
とりあえず、何が先決か？だ。先ず、1番の合法は混んでない所に行くこと！…だが、この手段を選ぶには時間帯との勝負になってくる。人がいない時間帯にいくか？と。でも昼時じゃなくとも、混む店はあるわけで、むしろ、空いてようが混んでようが長居するのもリスクしかない。ならば、クイックメニューだけで勝負をする。むむ…。あんまりだなあ。そんな手荒い真似をして星座を作るのはちょっと忍びない。なんか毘沙門天的な感じ？！じゃない？いや、そうでは無く、大黒天とか恵比寿っさんみたいな気持ちで瓶ビール座を創世したい。だって瓶ビール座は美味い肴があってやっと煌びやかに光るのだ。
むう…。なかなか見えない糸口だなあ。。うーん。とりあえずお酒の神様を降臨させてナムナムしてみる？とか。あるいは一休さんを降臨させてポクポクチンチンしてみたり。まるで、くもの糸を掴んでるような…気もするし、まるで、掴んでも無い気がする。一体、誰が俺の脚を引っ張ってるんだ？いやそれとも、雁字搦めになっている自身が引っ張ってる気もする…。正に坩堝。熱くなってくる。狂気。時空の歪み。クレイジーワールドに誘われている。ジワジワと。ヤババババ…！と地獄の果てで揺れている…と。あ！あー！ヒラメイタ！合法を！さすが天才の國から産まれた漢。我は神成リ。さあ神輿をかつげ！愚民共！酒呑道師様の御通りだい！
いざデッパツ！
町中華じゃー！担がれた代わりには俺は踊り散らかさなければならない。何なら笛も吹きつつ、バチ代わりに太鼓も叩き散らす！さあ！扇動するから付いてこい！と言わんばかりの雅な佇まいを背に意気揚々と闊歩して辿り着く。わっしょーい！
通し営業の町中華屋さん♡ 非常に良い選択をしたと思う。ちょいと時間を外せばリスクも回避出来るし、何より一本付けてる諸先輩方もいる。分かってますね。しかも、打ち捨てたようなスポーツ紙を片手にキメている神々しい御姿。神様が集まっている。ひょっとして此処は出雲大社かね？なんて。神在月でしたっけ？と。とりあえずメニューを拝読して祝詞を挙げさせてもらう。
レバニラと瓶で！
コレで¥600かよ？！と。
今日日、レバニラなんて750円とかするのに大丈夫でっか？親方さん！って。にゃんちゅー事になってんのよ！しかも、美味い。レバニラって国民食だと思うの。ラーメンとカレーに次ぐ！みたいな。でもいかんせん、レバー嫌いの人口数もいるからイマイチ市民権が得られないように見えるけど。唯一、フォルムも味も変わらずにオールドスクールでやっている！カッコイイ。ラーメンもカレーもお洒落しちゃうのにシンプルコーデでいけちゃう無骨な感じ。昔から決まってんのよねー。
レバニラだけで打ち上がるのも申し訳ないので餃子も。¥300！もう町中華の良心！安すぎ。ちっちゃい餃子なので差し障りなし。カロリーゼロ理論。なにせ酢コショウだからね。
揚げ焼きでカリカリして美味しい。酢コショウがまた胃を洗い流してくれてるような…。さっぱりゆくのも作戦のうち。さすが天才の國からきた漢…。
あら。ここまでくるとやっぱりラーメンも食いたくなっちゃう。¥550って。きゃー！って。え？ワンタンメン¥650？半チャーハン付けたら¥950。むむー！悩む。入る？少食なんすけどボク。いや、ビン蓋星を並べて星座を作る責務をもった神が此処で日和っては成らぬ！
民の為にも光る星々を作る！瓶ビール座を創世しよう。
それじゃーワンタンメンと半チャーハンのセットでお願いアモーレ♡
正解。世の中不誠実なヤツが多いのに正しさばっかり
押し付けて難癖つけてきやがる。寛容性も多様性も決して無駄遣いするものではない。此処に存リ！と言わんばかりの御供物が鎮座！！お酒を導く神として、承らぬ愛は成シ！！半チャーハンをカッ込んでズルっと麺を啜る。ワンタンの喉越しに合わせながら自身の宵越しを見据える。美味い！美味すぎる！って打ち上がり。一句。
''瓶ビール座 艶る神成り(雷) 宵の口''
御後が宜しいようで
サイナラ
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