他人の言葉で伝える〜経営とデザインのコミュニケーション〜 #CXO Night
CXO Nightで「短期的な利益が得るのが難しいデザインを提案する場合、デザイナーはビジネスサイドとどうコミュニケーションしたら良いのか」と質問をしたら、「他人の言葉で伝える」といった回答を頂いたので、どうすればできそうか考えてみました。
CXO Nightって何?
最近Webサービスのスタートアップ界隈では、「CXO = Chief eXperience Officer」や「CDO = Chief Design Officer」といった肩書きで、デザイナーが経営ポジションにつくことが注目されるようになってきました。
このイベントでは、主にデザイナーが役職につくメリットやインパクトなどについて取り上げていました。
第1部:CXOがいる組織で働いている若手デザイナー陣のエモい話
第2部:デザイナーが活躍しやすい組織マネジメントの苦労話
第3部:このnoteの代表 加藤さんとCXO 深津さんの実例を交えた話
※トークテーマはこちら
たくさん勉強になる話はありつつも、今回は自分がした質問に絡めて、デザイナーとビジネスサイドの円滑なコミュニケーションに焦点をあてたブログ内容にしようと思います。
デザイナーが経営に参加するメリット
各コメントをまとめると、CXOやマネージャーとして権限を持つことで、以下のことがやりやすくなったという経験談が出ていました。
・施策の成功打率があがりやすくなる:CXOやマネージャーになれるレベルのデザイナーは、ユーザーにまつわる定性データはもちろん定量データも交えた会話ができる。経営陣として発言力があり、施策を実行していけるので結果的に良い数値結果をもたらすようになった。
・意思決定がスピーディになった:権力があるので、社内説得の時間が短縮できた(施策だけでなく、備品や素材の購入とか含めて細かいことも色々)と同時にデザインに理解がある人が経営層にいることで、デザイナーメンバーの組織に対する安心感がもたらされた。
・メンバーのモチベーション向上:深津さんのnoteへのコミットが半端ないので、チームメンバー全体の意識が格段にポジティブな方向に変わった。チームの雰囲気が良くなり、確実に成果につながっている。
・デザイナーの採用強化:優秀な人材と一緒に働くには、それを見極められる優秀な人材が不可欠。
・評価制度を充実化:(坪田さん DeNA時代)スキル評価とサービス評価の2軸で分けて判断、(池田さん クックパッド時代)エモーショナル/ユーザビリティ/技術/スピード/チームへの影響力の5軸で仕組み化した。
・適切なリソース配分:デザイナー個人のスキルにあわせたプロジェクトのアサインがしやすくなった。
ビジネス成果とデザイン価値
第3部で「短期的な利益が得るのが難しいデザインを提案する場合、デザイナーはビジネスサイドとどうコミュニケーションしたら良いのか」の問いをしたとき、2つの回答を頂きました。
1. まずは数字を出してみる
まずは数字に表れやすい実績を出して「この人になら任せても大丈夫」という信頼と発言力を得ることが大事。いきなり無理難題をふっかけるのではなく、徐々に信頼を得てから、デザインを提案すれば、健全に進めていけるかも。
2. 他人の言葉で伝える
デザインを説明するときに「他人の言葉」を使って話すこと、相手と仲良くなって関係性を築いておくことが大切だと話してくれました。
ますぶちみなこさんが描かれていたグラレコがとても素敵なので引用(転載許可ありがとうございます!)
私が「相手が好む言葉ですか?」とたずねたら、すかさず深津さんから「伝わる言葉」と返ってきて、適当に表面上取り繕っても意味がないということがすんなり見抜かれた気がしました。
この「仲良くなる」というのもすごく重要で、誰が何を発言するかで、相手の受け取り方は全然違うよなぁと。
確かに全然絡んだことない人に、いきなり「UXでジャーニーしようぜ!ペルソナとハニカムしようぜ!」と話しかけられたら、にこやかに受け流して終わるかもしれない。
他人の言葉でうまく伝えるには
「じゃあ、どうやって他人の言葉を話せばいいんだろう。他人ごとに単語や言い回し変えるなんて、もうコミュ力モンスターに変身するしかないじゃんか。凡人な私がとりあえず始められることはなんだろう。」とか思い、懇親会で深津さんに話しかけてみました。
お話ししていく中で、人によって、大事にしている価値観や指標は違っている。日頃からその人の言動や習慣を観察しておくようにすると、おのずと見えてくる気がしてきました。
例えばスケジュールやコスパなど「時間」に対する執着が強い場合は、「こんなUIデザインにしたら、〇分で作業が終わりますよ。やってみませんか?」みたいな伝え方が良いのかな。
まとめ
今回のブログタイトルは、あえてデザインよりも「経営」を先に並べてみました。企業やサービスを成り立たせるための経営があってこそ、デザインができる環境があると思っています。
私たちデザイナーは、デザイナーであるがゆえに「デザイン」を主語にして考えることが多い。でも相手にとっては当たり前ではないから伝わらない、分かりあえない。だからこそ相手にあわせた言葉で伝えることが重要なのかなと感じました。
日頃から訳の分からない赤の他人であるユーザーのことを考えているなら、身近にいるビジネスサイドの方々を理解するのは、意外とそこまで難しくないのかもしれない。むしろ勝手にわかったつもりになって、決めつけていたのかもしれません。
とりあえずビジネスの現場で、デザインを通して成果を出せるように地道に頑張れば、その先に見えてくるものがあるのかな。
お忙しい中イベント準備&登壇頂いた方々、キャパりながら質問していた私にお付き合い頂いた会場のみなさん、ありがとうございました。
とても有意義で楽しかったです。それでは!
美味しいラーメンを食べて、明日への糧にします🍜