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西表島の陸活動、ピナイサーラの滝の上と下 その②

 「見方を変えると目の前の世界が広く明るく見える、ちょっと感覚が変わる」

 それは、ヨガの先生が三点倒立のような逆転のポーズをする意味について話してくれた時の言葉だった。逆転のポーズはなかなか難しく、1人ではまだできない。先生にサポートしてもらい、逆さまになった時は辛くてしかたないだけだったが、ポーズが終わって、天地がもとに戻った時に不思議な感覚になったことを覚えている。頭がクラクラしてぼーっとしていたから、勘違いとも思えるが、モヤっとしていた視界がちょっと開けたようだった。先生がよく口にする「気づき」はそーゆー感覚を繰り返し経験して自分の一部にしていく作業なのかもしれない。それと同じ感覚を崖をのぞいた時に味わった。下から見た滝は豪快で壮大で圧巻だ。でもそれがピナイサーラの滝の全てではなく、滝の上で起こっているサラサラした小さな流れと迫るジャングルも含めてこの滝が完結していのだ。

 もっと知りたくなりサラサラ流れる水の上流を探ってみようと崖の反対側を歩き始めて、気づいた。「この先は行けない」

 ピナイサーラの滝の上に着いた時には躊躇なく足を踏み入れた。なぜなら、人見知りのない包容力を感じたからだ。しかし、反対側の迫るジャングルの奥は、覗くものではないと直感が働いた。崖の周辺とは明らかに違う、人間を受け付けない態度だった。ジャングルの奥が始まる所に大きな岩がどっしりと人間の侵入を拒んでいるように見えた。だから、それ以上は前進しかなった。Sちゃんが作ってくれた八重山そばランチを食べて、山を下りる直前にも同じ場所に立ってみたが、踏み入れる隙間はなく、後ろ髪を引かれたのは崖すれすれの景色ではなく、迫るジャングルの入り口だった。つづく。

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