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”出前の箱”から生まれたアイデアで、アスファルト合材供給に革命を起こす話


アスファルト舗装のイメージ

日工株式会社広報のSOです。
最近社内で「オカモチ」「オカモチ君」というワードを耳にすることが増えた。
誰のことやろか、な~んて思ってたら実は5年掛かりの開発期間・・
さらに国交省も巻き込んだ日工ビッグプロジェクトだった!
ある課題を解決するために、
アスファルト合材※をオカモチみたいなハコで運ぶ」。
そんなソリューションの実現に向けた取り組みを紹介したいと思います。

※道路舗装に使われる、アスファルトと砂利などを混ぜ合わせたもの。

オカモチとは?

そもそも、オカモチ(岡持ち)とは出前に使われる箱のことだ。
保温性能があるため、ラーメン、うどんをあたたかい状態で提供できる。
出前のラーメンってやけにおいしいよね。

(わりと高いな…)
オカモチのイメージがついたところで、取り組むべき課題についてのお話に移ろう。

減少傾向にあるアスファルトプラントと時間制限

アスファルトプラント

アスファルト合材は、アスファルトプラント(以下、プラント)という製造設備で作られている。
出来上がったアスファルト合材はダンプトラックで舗装現場へ運ばれているが、大きな制約があった。それは「時間」だ。
アスファルト合材は冷めると固まり、舗装できないのである。
「アスファルト合材は90分以内、距離にして半径20~30km圏内の距離に運ぶ」これが舗装業界の常識である。
そのため、幅広い範囲を舗装できるように、プラントは全国各地に点々と配置されてきた。
ところが、最近になって北海道や離島、過疎地など、アスファルト合材を90分以内に届ける=舗装することができないプラント空白地ができつつあるのだ。
アスファルト合材の需要減に伴い、プラントの数が激減してしまったためだ。1991年と比べると約6割にまで落ち込む。
もし、プラント空白地の道路が老朽化したり、災害が起きた場合、
迅速な対応ができない。
これはあまり知られていないが、日本のインフラ維持において大きな課題となっている。

出前みたいに運べるんじゃない?

通称”おかもち君” 試作機。岡持ちソックリ

前置きが長くなったが、今後もプラントが減少するのは自明の理。
プラントメーカーとして、”アスファルト合材の安定供給は使命” だ。
そんななか、ふと「出前の箱(オカモチ)を使えば、ラーメンみたいにアスファルト合材をあったかいまま運べるんじゃない?」といった突拍子もないアイデアが出た。会議は大盛り上がり。
オカモチ構想の具現化に向け、若手社員を中心に開発チーム、通称”オカモチーム”が立ち上がったのである。
ハコの大きさ、厚み、強度、保温材の選定…..試作に試作を重ね、ついにアスファルト合材を8時間、320km搬送できるハコが完成した
いやいや、5倍て。どんだけ保温できるねん。

ちなみにこのオカモチは、以下の国交省の公募に応募し、見事に選定。
2023年3月上旬に国交省立ち合いのもと北海道で舗装テストを行い、舗装品質を見極めてもらう予定だ。

そんななか、実証テストを前に大忙しであろう、オカモチ開発リーダーにコメントをいただいた。

「かつて誰もが成し得なかった神への道。AP補完計画だよ」(原文ママ)
※AP・・・アスファルトプラントの略

オカモチ開発リーダー

あれ?どこかで聞いたことがあるセリフだなあ….

プラントを減らしたいプラントメーカー

移動にはフォークリフト必須。

オカモチの普及・運用にあたっては

・箱の置き場と回収方法(箱単体で890kg)
・箱に詰めたり、出すのに時間がかかる
・コストダウン

などの課題が山積みだが、オカモチを普及させることにより、”プラントが少ない世界”を目指している。
1つのプラントで、広範囲に搬送できるようになるためだ。
実は、アスファルトプラントの稼働率は低く、全国平均で1日3時間程度しか稼働していないようだ。
そのわりに、エネルギーをたくさん使ってCO2もかなり出している。
日本のCO2総排出量の0.12%はアスファルトプラント由来だ。

大きなプラントを複数会社でシェアして、稼働率を上げたほうがエネルギー効率も上がり、エコじゃないか。
プラントメーカーがプラント減らしたいなんて…と思われるかもしれないが、「世界を、強くやさしい街に。」をVISIONに掲げる当社では
環境への負荷が低い未来を目指したい。
仮に現在、全国に1,000基ほどあるプラントを200基に減らせたら年間120万トンのCO2を削減できる。

さいごに

オカモチ初号機&オカモチーム一同

国交省のテスト後、舗装品質のお墨付きをもらえれば
離島、北海道地方にて2024年度中の実運用を行う目標のようだ。
オカモチームより、改めて、以下のコメントをいただいた。

オカモチはアスファルト合材供給における、ラストワンマイルの切り札となり得ると思います。
開発4課内のグループラインで''オカモチーム''を作成し、今までチームワークで国交省の公募を乗り切ってきました。公募通過とその更に向こうまでこのまま駆け抜けていきたいと思います。応援、宜しくお願いします!

オカモチーム一同

オカモチームの意気込みが伝わってきますね。
「誰もが成し得なかった神への道」の実現までのストーリー。
テストの様子や、開発秘話など 続報を更新していきますので乞うご期待!

取材協力:オカモチーム
ライター:SO

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