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【読書記録】排泄物と文明

おすすめ度 ★★☆☆☆

月に一度送られてくる広報誌の書評がいつも面白い。そこで紹介されていたこの本も面白そうだったので、借りてみた。
結論としては、書評の期待値が高すぎて本体はうーん…だったのだけど、排泄物つまりウンコについてここまで考察している本がある、世の中ってまだまだ広いんだなぁと感嘆した。


全方位全生物のウンコ話

これである。
タイトルからもわかるように徹頭徹尾ウンコの話。訳者があとがきで「こんなにもウンコという言葉を使ったことがない」と書くほどにウンコである。小学生大喜び。
著者は獣医で、世界中のウンコを調査研究している。これだけで世の中には色んな研究があるんだなぁと空を仰ぎそうになるのだけど、内容のディープさが底なしだ。

序盤から、牛糞と馬糞の違い、ゾウやキリン、カバやウサギ、昆虫などあらゆる糞の特徴が延々と語られる。ただ語られているだけではなく、排泄物を肥料として使ってきた歴史や、伝染病の原因になってきた歴史などと絡めている。
内容は結構難しい。専門用語が多く、糞の成分がどうのこうの、病気のメカニズムがどうのこうのという部分が長いので、ついていけないところが多々あった。どんなにウンコが好きでも小学生には読めないだろう。
ちょいちょい入ってくるアメリカンジョークなのか、哲学問答なのかわからない小話も、笑っていいのか真面目なのかわからず困惑する。
まあ私の素養と読解力の問題なんだろうけど、著者の主張をもう少し際立たせて、抑揚がある構成だったらよかったなぁとは思った。

要するに何かというとウンコ

で、この本の主張が何なのか。ちゃんと理解したらものすごく深いことを書いてるんだと思うけど、私の拙い理解で超シンプルに書くとこんな感じ。

・ウンコは肥料として超大事
・ウンコは生態系を支えてきた
・でもウンコは伝染病の原因にもなる
・世の中のウンコの総量はものすごく増えている
・人間がコントロールできる範囲など限られている
・生態系の循環が追いつかないくらいのウンコとどう向き合っていくかが未来の課題だ

というわけで徹頭徹尾ウンコだなぁという感想しか持てなかったのだが、多分もっと素養のある人なら深く読めるのだと思う。「ウンコだなぁ」という小学生的感想しか持てなかった自分のレベルが残念だった。

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