友達が死んだ話 その3

友達が死んだ話として書き始めたのはそもそもこの友人の話をしたかったからで、
じゃあ前の二人はなんだったんだ?と聞かれると、お互いに友達と呼ぶほど仲が良かったかは疑問が残ります、という感じの関係だった。

そんなわけで、正真正銘10年以上の付き合いの友人が死んだ話をする。

彼女(Yちゃんと呼びます)との出会いはインターネットの掲示板だった。
(※15年ほど前は今と違ってインターネットにSNSはなく、大型の掲示板やホームページで交流をするのが主でした)

その中で、好きな作品が同じでお絵描き掲示板に書き込んでいる絵の上手い人が居るな、というのが初めてみた時の記憶。
そのときには、Yちゃんと私はすぐには交流を始めなかった。その時点では「共通の友達が居る同じジャンルの人」だった。

それから何年か経ってお互いに個人サイトをつくったり別ジャンルにハマったりしているうちに、同じジャンルにたどり着いた。
私たちがハマった作品は小説なので活動している人がそこまで多くはないジャンルで、必然的に同世代(のちにタメだとわかる)だった私たちは会話をするようになった。
Twitterが出てきた頃だったかもしれない。


そのときからやっぱり彼女は絵がべらぼうに上手く、同じジャンルで交流できることが嬉しかったことを覚えている。自分は何も偉くないのに、私の自慢だった。
大学生になって東京や大阪のイベントにも多少なりとも出掛けられるようになって、お金が使えるようになって……それから社会人になって、住んでいるところはさほど近くはないけれど会おうと思えば名古屋とかで落ち合えたし、イベントがあれば行って、好きな漫画を布教して/されて、ディズニーランドとかにも一緒に行ったし、社会人になってからはお家に泊めてもらって原稿合宿をしたりもした。
同い年だったから就職のタイミングも重なって、仕事の愚痴とか、家族のこととか、色々なことを話せる数少ない友人だった。

楽しい絶頂というと変だけど、でも本当に楽しい盛りの2017年のこと。
春にはYちゃんの下宿先のアパート泊まりに行ったし夏には舞台の話で盛り上がって、秋にもずっとあたらしくハマったジャンルの話をしていて、冬には一緒にライブに行く予定を立てていた、そういう時期だった。


でも死んだ。

突然のことだった。

突然というと変かもしれない。
YちゃんのTwitterの更新が途切れて、一週間くらい音沙汰がなかった。さすがに今までそんなことなくて、おかしいなと思って、LINEも既読がつかなくて、Yちゃんのオフ友さんにダイレクトメールを送った。

そしたら「信じられないかもしれませんがもうこの世には居ません」という旨を色々言葉を選んで連絡してくれた。

知らせを受けたのは夜だった。
信じられなくて、もう一人仲良かった友達Sさん(一緒に心配だねと会話していた)にどう伝えていいかわからなくて、とりあえずそのダイレクトメールをスクショして送った。
混乱していた。
信じられなくて、驚いて、悲しいとかもわからなくて、ただただ混乱していた。

涙なんて出てくる暇もなくて、そもそも私たちが何も知らずにYちゃんがいないな~と思っていた間に亡くなってそれでお葬式まで終わっていたことにひどくショックを受けた。
彼女が死んだことすら知らずに、のうのうと、お通夜も葬式をやっているときにも平然と生きていたのだ、私は。

私達はどんなに仲が良くてもやはりインターネットの上での友達で、有事の際には何も知ることが出来なかった。
「なぜ」とか「どうして」とか死んだことへの悲しみに理解が追い付かなくて、まず知れなかったことにショックを受けていた。

Yちゃんの名誉のために言っておくと、死因は病死だった。
病気と言っても持病があったわけではない、脳出血とかそういう、突然のものだ。不調を感じてきちんと救急車で病院に行って、対処は早いし間違っていなかった。私の大好きな友達は最後まできちんとしていた。

でも、助からなかった。

なんで彼女のように優秀で良い人間がいなくなるのか、わからなかった。

最後にやりとりをしたのは、彼女からの郵便物が届いたときで、たぶんTwitterに現れなくなるかどうかの瀬戸際のタイミングだった。
そのときに私がもっと早くLINEをしていたら、何か連続して会話をしていたら履歴の上位にいてもっと早く知らせが来たのでは?とか、色々なことを考えた。

そこからのことはまた続きをかきます。

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