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Vol.34「デジタル給与」生活者の利用意向は

                             2021年6月

前回のコラムメールではキャッシュレスについて取り上げました。
私のスマホでも数種類の電子マネー・決済アプリが活躍中ですがいざ現金しか使えないという場合に、手持ちが足りなかったりそもそも財布を持ち歩いておらず冷や汗という経験を何回かしてしまいました。

引き続きキャッシュレス関連の話題となりますが日経リサーチでは、 6/3~6/7に実施した自主企画調査にて「給与のデジタル化」について聴取しました。本日はその結果をご紹介します。

【日経リサーチネットモニター、日本全国の20代~50代男女、回収数999】

Q.「給与のデジタル払い」 の解禁が厚生労働省で検討されています。
銀行振り込み・現金ではなく、スマホの決済アプリや電子マネーで給与を受け取ることができる制度です。
あなたは、ご自身(またはご家族)が受け取る給与で「デジタル給与」についてどう思いますか。

※スコアの単位は%、左から
「利用したい計(とても利用したい+まあ利用したい)」
「利用したくない計(あまり利用したくない+利用したくない)」
(選択肢はそのほかに「わからない」も設けています)

利用意向は全体的に高いとは言えない傾向ですが男性よりも女性、若年層よりも中年層、正社員・契約社員よりもパート・アルバイトで利用意向が低くなっています。
キャッシュレス給与の利点の1つとして、アルバイトなどの非正規雇用者に対する利便性向上があるそうですが、当人の意識としては低くミスマッチな状況と言えるかもしれません。

では、どのようなことが障壁となっているのでしょうか。
今回の調査では聴取していませんが、自分ごととして考えてみると

・そもそもデジタル化される給与は一部なのか、全額なのか
・現金化はできるのか
・現在銀行口座で行っているクレジットカード支払や公共料金などの各種引き落としは対応できるのか
・数種類使い分けている電子マネー・決済アプリのうち振込先が1つしか選べないとなると不便
・セキュリティ面/運営会社が破たんした際の補償は

など疑問や課題が山積みで、確かに手放しで歓迎とはいきません。

また少し調べたところ、そもそも給与のデジタル化には資金移動業者(PayPayなどの決済サービス提供者など)が発行するプリペイド(前払い)式の給与振り込み用カード「ペイロールカード」の導入が想定されているとの報道もあります。(※)
個人的には、リアルなカードがまた1枚増えてしまうのかと思うとややげんなりしてしまい、今のところメリットはあまり感じないというのが正直なところです。

一方ソフトバンクが今年3月、特別手当をPayPayで支給したというニュースに触れ、さすがに先進的だなと感心しました。
今後色々な課題をクリアにして、生活者にやさしくメリットのある形でデジタル給与制度が始まっていくことを期待します。

皆様はどのようにお考えでしょうか。
よろしければご意見やご感想、また調査結果を詳しく知りたいなどのご要望もぜひお寄せください。

(※参考:給与「デジタル払い」解禁へ 知っておきたい10の知識 日経ビジネス 2021年2月10日 )

■今週の執筆者■
高橋 元子(アカウント第1部)

【お気軽にご意見、ご要望などいただければ幸いです】
日経リサーチ 金融ソリューションチーム finsol@nikkei-r.co.jp
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また、執筆者個人の主観、意見が含まれております、ご了承ください。

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