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Vol.12 支店もATMもなくなる日はやってくるのか

                             2020年7月

コロナの影響で、弊社も4月上旬からテレワークが中心となりました。
緊急事態宣言も解除された後でしたので、お昼休みに近所の商店街の銀行に出かけました。
ATMで記帳をしようとしたら、通帳が一杯だったらしく
「新しい通帳に交換いたします。窓口にて」 のような内容のメッセージが表示されました。
ところがなんと、そのATMの横にあったはずの支店が統廃合されてなくなっていたのです。
本当にがっかりしました。結局その日はあきらめ、出社日に大手町の本店にて手続きをすることにしました。
「すみません、便利なスマホアプリも入れて利用しているんですが」と恐縮しつつお願いすると、数分で「新しいケースをどうぞ」という温かい一言と真新しい通帳をご用意いただきました。

痛い経験の後に、最後は丁寧な接客を受け「いい銀行だわ」と感動体験をした次第でした。こんなことがありましたので、少し支店とATM数について調べてみました。
まずはじめに日本国内の支店数についてです。全国銀行協会がHPにデータを公表しています。

2018年は対前年で減少に転じています。内訳をみると、減少の原因は都市銀行とゆうちょ銀行です。

ゆうちょ銀行は2014年からの減少が続いていることがわかります。それに反して100支店以上増加したのは地方銀行でした。 今回は触れませんが、この裏側にはそれぞれの行事情があると思われます。
注)全体:店舗外の現金自動設備を除く

ゆうちょ銀行:銀行代理業を行っていない郵便局(分室及び簡易郵便局を含む)を除く。
資料 一般社団法人全国銀行協会「全国銀行財務諸表分析」より
株式会社ゆうちょ銀行「ゆうちょ銀行 統合報告書(ディスクロージャー誌)」https://www.zenginkyo.or.jp/stats/year2-02/
次にATMの台数です。こちらはグローバルのデータになります。
IMF(国際通貨基金)が「金融アクセス調査」(annual Financial Access Survey:FAS)を毎年発表しています。

その2019年版に、2018年の各国成人10万人当たりのATM台数の結果を見つけました。
全世界ではわずかに増加、しかし先進国ではどうやら2018年から減少傾向に転じたようです。
2018年は対前年で減少に転じています。内訳をみると、減少の原因は都市銀行とゆうちょ銀行です。
ゆうちょ銀行は2014年からの減少が続いていることがわかります。それに反して100支店以上増加したのは地方銀行でした。 今回は触れませんが、この裏側にはそれぞれの行事情があると思われます。
注)全体:店舗外の現金自動設備を除く
ゆうちょ銀行:銀行代理業を行っていない郵便局(分室及び簡易郵便局を含む)を除く。資料 一般社団法人全国銀行協会「全国銀行財務諸表分析」より
株式会社ゆうちょ銀行「ゆうちょ銀行 統合報告書(ディスクロージャー誌)」https://www.zenginkyo.or.jp/stats/year2-02/

次にATMの台数です。こちらはグローバルのデータになります。
IMF(国際通貨基金)が「金融アクセス調査」(annual Financial Access Survey:FAS)を毎年発表しています。
その2019年版に、2018年の各国成人10万人当たりのATM台数の結果を見つけました。
全世界ではわずかに増加、しかし先進国ではどうやら2018年から減少傾向に転じたようです。
参考までに上位の企業は以下になります。日本は11位で127台/人口10万人です。

■人口10万人当たりのATM台数

資料:IMF World Development Indicators 2019    
Last Updated Date 2020/5/28
https://data.worldbank.org/indicator/FB.ATM.TOTL.P5?end=2018&name_desc=true&start=2004&view=chart

先進国では、支店数を減らしてデジタル決済に経営資源を集中させる傾向にあります。一方発展途上国のアフガニスタンやバングラディシュなどでは、スマホの所有が急激に増加。モバイルマネーの利用が当たり前になり、もはや銀行やATMを介さずに金融取引が盛んになる兆しがうかがえます。 画期的な金融イノベーションを起こしたATMですが、グローバルの動きからみると、ICTの進化により、もはや中途半端な存在のようにも思われます。 COVID-19 パンデミックでさらに勢いをつけ、世界中がデジタル決済の方向に加速しているのは間違いなさそうです。来年の7月頃には、支店とATM数はどれぐらい変化しているでしょうか。

はたして支店もATMも存在しなくなる日はやってくるのでしょうか。

■今週の執筆者■
中谷 真由美(営業企画部)
主な担当業務:金融機関から流通、不動産、鉄道、代理店まで幅広く営業サポートしています。

【お気軽にご意見、ご要望などいただければ幸いです】
日経リサーチ 金融ソリューションチーム
finsol@nikkei-r.co.jp
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