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Vol.65 融資を受ける金融機関に対しての「痛点」は?

                             2022年10月

2022年5月に日経IDリサーチサービス(※)を活用し、ビジネスパーソンに対して、企業とのお取引の中での不便や期待外れといった「痛点」にフォーカスしたCX調査を実施しました。
※日経電子版会員を中心に構成された日経ID会員向け調査サービスです


今回はその中で、「融資を受ける金融機関」に対しての「痛点」の結果を一部ご紹介いたします。
「融資を受ける金融機関」の他に、「素材・電子部品」「生産工程機器」「ITシステム」についても併せて調査しており他業種と違いを確認いただけます。
※金融機関の回答者は「選定・決済」「情報収集」「全般的な取引」で関与されている方です。

今回対象とした4業界に対しての回答者全体の78%が過去1年間でなにかしらの痛点を経験しています。
その中で、金融機関に対して痛点があったと回答した人は72%と他の業界に比べて発生率は低く、痛点の深刻度についても全体で80%(とても困った+やや困った)が困ったと回答しているのに対し、金融機関に対しては67%でした。

期待度が元々低いのか、それとも本当に痛点が発生していないのでしょうか?

では、金融機関に対してどんなところで痛点が発生しているでしょうか。
最も深刻な痛点のTOP5は以下の通りです。

1.「融資条件や手続き面が複雑」(情報収集)
2.「提案内容がニーズに合わなかった」(提案)
3.「手数料が高かった」(提案)
4.「担当者の対応やスキルレベルに不満があった」(一連を通じて)
5.「当社の要望やニーズを理解していなかった」(普段)

その他の痛点としては、
・「役に立つ、有効な情報を提供してくれなかった」(普段)
・「手続きが煩雑だった」(申込審査)

も多く発生しています。

痛点経験者に苦情を申し出たか確認すると、全体では42%が申し出ているのに対し、金融機関に対しては25%と多くの企業で痛点を感じても金融機関に連絡しないことがわかります。
申し出ない理由を見てみると、金融機関も他業種も「解決・改善が期待できない」「面倒だった」がTOP2の理由として上がりますが、金融機関はその他、「関係が悪くなりそうに感じた」「言いにくかった」「長期的な取引のため」の理由が他の業種に比べ高く、今後の取引を懸念している背景が見え隠れしています。

これらの痛点の中で、発生率は低いが、継続意向を損なう離反リスク度が高い項目として挙がってきているものは以下となります。

・担当者の対応やスキルレベルに不満があった(一連を通じて)
・問合せに対する回答・対応が鈍かった(情報収集)
・相談してから提案までのスピードが遅かった(提案)

継続してもらうためにはスピードも重要ですが、回答目途が事前にわかるだけでも受け取り側の印象は変わってくるのではないでしょうか。

発生率も深刻度も高い:要注意痛点としては
・提案内容がニーズに合わなかった(提案)
・当社の要望やニーズを理解していなかった(普段)

「顧客理解」「ニーズに合った提案」に関しては、どんな業種でもよく言われていることです。痛点は発生させないことも大切ですが、発生した際の対応によって満足度は大きく変わります。FDを行う上でも、顧客視点でカスタマーサクセスにつながる提案や日々の対応の心がけが大切です。「痛点」が発生したあと、どのようにリカバリーするか。『応対力』が求められます。

今回、BtoBの痛点を見てみましたが、生活者が感じる「痛点」とそう大きくは変わらないのではないでしょうか。

■他業界についてのコラムはこちら
「技術力」だけでは生き残れない!ー いま求められる顧客視点でのBtoBマーケティングー
【第1回】顧客の「期待外れ」は意外なところにある
https://service.nikkei-r.co.jp/report/cscx_id127

【第2回】クレームとして顕在化する不満は半分しかない
https://service.nikkei-r.co.jp/report/cscx_id128

【第3回】営業や顧客への情報提供、デジタル化すべきはココだ!
https://service.nikkei-r.co.jp/report/cscx_id135


■今週の執筆者■
大西 直美(ソリューション本部 アカウント第1部)

【お気軽にご意見、ご要望などいただければ幸いです】
日経リサーチ 金融ソリューションチーム finsol@nikkei-r.co.jp
当コラムの無断転載、引用は固くお断りいたします。
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