見出し画像

Vol.30 SDGsの期待と成果

                             2021年4月

金融ソリューションコラムvol.30をお届けいたします。

最近はビジネスシーンだけではなく、メディアや広告でも「SDGs」の言葉を目にする機会がとても増えています。実際の生活でも「レジ袋の有料化」などが仕組みとして組み込まれ、既に違和感もなく暮らしています。

そこで今回は、自主企画調査(回答者2,025人、300人以上の企業にお勤め、日経リサーチモニター、調査時期:2021/03/31 ~ 2021/04/05)から「金融に期待されるSDGs」と「SDGsによって得られると思う成果」についてご紹介します。

■「SDGs」の言葉は浸透しているが、関心を持っているのは半数程度
SDGsの認知率(「知っている」と「聞いたことはあるが、内容はよく知らない」の合計)は87%と言葉としてはとても浸透していますが、「興味・関心がある」となると認知者の中の53%であり、知っていても半数は興味を持っていないのが現状です。

■金融に期待されるのは「貧困をなくそう」「働きがいも経済成長も」
SDGsの17の目標のうち、金融の企業に期待する項目をうかがいました。
(3つまで回答)

1.分からない・特にない   37%
2.貧困をなくそう      21%
3.働きがいも経済成長も   18%
4.すべての人に健康と福祉を 13%
(5位以下省略)

自由回答の意見は様々でしたが、「金融を通じた発展途上国支援」「クリーンエネルギーへの投資」等、金融活動を通しての貧困や環境への支援が目立ちました。また、「健康」という言葉も多くあがっていますが、具体的な活動はあまりみられませんでした。こちらの回答結果からは「金融」のイメージとSDGsの17の目標の中から結びつきやすいものを「期待」として回答されていることがうかがえます。
ただ、「金融」は具体的な活動までイメージできるが、「健康」の具体的な活動はイメージしにくいということがわかります。現状では「分からない・特にない」も約4割を占めており、それぞれの業種での具体的でわかりやすい活動がポイントになっていきそうです。

■SDGsで得られると思う成果は「企業価値の向上」、今後の課題は「売上の向上」
金融の企業にお勤めの方に、お勤め先がSDGsの17の目標に対して取り組みを行うことで得られると思う成果をうかがいました。(スコアは「とてもそう思う」と「そう思う」の合計)

1.企業価値の向上      67%
2.企業姿勢の明確化     64%
3.取引先との関係維持・拡大 53%
4.働く意欲の向上      52%
5.人材獲得・定着      45%
6.売上の向上        40%

「企業価値の向上」と「企業姿勢の明確化」がともに60%台で成果が得られると思われています。その他にも、「働く意欲の向上」や「取引先との関係強化」は半数以上が有効と考えています。一方で、最も成果に直結しにくいと思われているのは「売上の向上」でした。
SDGsに取り組むことで企業価値が向上し、従業員や取引先にもポジティブな影響が期待できるが、それに比べて売上の向上はイメージしにくいと思われているようです。理念の基本である「持続可能」を実現するためには売上と連動することは欠かせない要素ですが、その点に課題が見えました。

SDGsは直近の大きなテーマの1つですが、世間の浸透・定着にはもう少し時間が必要そうです。また、社外だけではなく社内に対しても理解を進めていくことがインナーブランドの観点からも重要な活動であるいうことがわかりました。

みなさまの会社ではどのようなお取組みをされていますでしょうか。
お気軽にご意見などいただければ幸いです。

■今週の執筆者■
小池 拓郎(アカウント第1部)

【お気軽にご意見、ご要望などいただければ幸いです】
日経リサーチ 金融ソリューションチーム finsol@nikkei-r.co.jp
当コラムの無断転載、引用は固くお断りいたします。
また、執筆者個人の主観、意見が含まれております、ご了承ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?