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Vol.19 金融の店舗・ATM削減に対して顧客はどう考えているか?

                             2020年11月

新型コロナウイルスの影響もあり、金融業界でも急速なデジタル化が進んでおり生活者は便利になる一方でリアルな接点は減少の傾向にあります。この変化について生活者はどのように感じているのでしょうか。
前回に続き、自主企画調査(回答者1,080人、日経リサーチモニター、調査時期:2020/9/29~10/1)から
「金融サービスのデジタル化に対する不満や不安」と「支店やATMが減っていることに対しての考え」について調べてみました。

■金融サービスのデジタル化について、「不満・不安がない」層を「不満・不安がある」層がやや上回る
オンラインバンキング、ビデオ相談、チャットサービスなどの金融サービスのデジタル化に対する意識をうかがいました。

・不満や不安がある 36%
(「非常に不満や不安がある」「不満や不安がある」計) 
・不満や不安はない 26%
(「全く不満や不安はない」「不満や不安はない」計)  
・どちらともいえない 38%

自由回答をみると「不満や不満」の理由の大部分は「セキュリティに対しての不安」が挙げられていました。
「不正引き出し問題」の報道もあり、金融のデジタルサービスの不安を身近に感じているといえそうです。
また一部では「チャットでは思うような回答がなかなか聞くことができない」といったデジタルがリアルの対応に追いつけていない点の指摘や漠然と「対面で話したい」という意見もあり、セキュリティ面以外にも技術面、生活者への浸透といった様々な課題がみられ、生活者のインフラとして根付くのにはもう少し時間や工夫が必要といえそうです。

■銀行の店舗(窓口)やATMの削減されていくことについて、「不便だと思う」が過半数を超える
銀行の業務効率化やキャッシュレス化の影響で、銀行の店舗(窓口)やATMを削減する動きに対して不便を感じる層が多い結果となりました。

・不便だと思う 58%
(「非常に不便だと思う」「不便だと思う」計)       
・不便だと思わない 17%
(「全く不便だとは思わない」「不便だとは思わない」計)
・どちらともいえない 25%

デジタル化が進んでいるとはいえ、まだまだリアルな接点や現金の必要性がうかがえます。
年代別に傾向がでており、年齢が高くなるほど「不便だと思う」の回答は増加します。
20代では「44%」ですが、70代になると「73%」まで上昇します。
若年層ほどデジタル化に適応していることがわかります。
急速に進んでいる金融サービスのデジタル化ですが、セキュリティを万全にして安心して利用いただける環境作りは前提として、それでもデジタル化に適応しきれない特に高齢層のフォローも併せて取り組むことで、誰でも安心して安全にアクセスできるデジタルとリアルが融合された金融サービスを実現することが求められます。

その他にも結果が気になる質問項目などあればお気軽にご連絡ください。

【主な項目一覧】
Q 普段、どんなときに銀行の支店・ATMを利用しているか
Q 銀行の業務効率化やキャッシュレス化の影響で、銀行の店舗やATMが減っていくことに対してどのように思うか
Q 金融サービスのデジタル化(オンラインバンキング/ビデオ相談/チャットサービスなど)について
Q 金融仲介の規制緩和に伴い、金融機関以外(百貨店やスマホアプリサービスなど)での利用意向
Q ドコモ口座を使った預金の不正引き出し問題を受けてとった行動
その他、性・年代、都道府県の属性、メインバンク、メインバンクの印象など

■今週の執筆者■
小池 拓郎(ソリューション1部)

【お気軽にご意見、ご要望などいただければ幸いです】
日経リサーチ 金融ソリューションチーム
finsol@nikkei-r.co.jp

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また、執筆者個人の主観、意見が含まれております、ご了承ください。

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