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Vol.11 「金融行動と金融リテラシー分析~金融METERより」

                            2020年7月

日経リサーチ金融ソリューションチームコラム第11弾をお届けいたします。
今回は自主企画調査「金融METER®2019」より、金融リテラシーを用いた分析結果をご紹介します。
(調査時期:2019年9月/回答者:全国の20歳以上の男女約16万人/Web調査)
金融METER(※1)では金融リテラシーに関連した10項目の設問を聴取しています。
各設問の正答状況を20点満点で得点化し、得点の高低で5つのグループに分けて分析を行いました。
回答者全体に占める各グループの割合(%)は以下の通りです。

リテラシー低 (0~3点) :38.8
リテラシーやや低 (4~6点) :21.6
リテラシー中 (7~10点) :18.8
リテラシーやや高 (11~15点) :14.0
リテラシー高 (16~20点) : 6.7

では消費者の金融意識・行動は金融リテラシーの高低によってどのように異なるのでしょうか。
金融METERでは以下に挙げるような項目について、4段階でどの程度あてはまるかを聴取しています。

(1)新聞・雑誌やインターネットなどで、貯蓄や投資の情報を積極的に見たり調べたりする
(2)よい金融商品・サービスがあれば積極的に利用を考える
(3)金融商品については、他人より詳しいと思う
(4)多少のリスクがあっても、収益性の高い貯蓄・投資商品を利用したい
(5)資産運用で利用する金融機関は、電話やインターネットなどで取引ができれば、支店が近くになくてもかまわない
(6)資産運用について関心がある
(7)将来を考えると、預貯金などのリスクのない運用だけでは不安だ
(8)将来的な人生設計や老後の備えを含め、資金計画について専門家に相談してみたい

多くの項目において、金融リテラシーが高いほど「あてはまる」の割合が高くなります。
しかし1項目だけ、金融リテラシーの高低で「あてはまる」のスコアがさほど変わらないものがありました。どの項目だと思われますか。
答えは(8)です。実際のスコアを見てみましょう。スコアはあてはまる計(はい+どちらかといえばはい)の割合(%)です。

(8)将来的な人生設計や老後の備えを含め、資金計画について専門家に相談してみたい

リテラシー低  :23.6
リテラシーやや低 :42.1
リテラシー中 :43.6
リテラシーやや高 :44.0
リテラシー高 :41.4

最もリテラシーが低い層を除き4割台前半となっておりリテラシーの高低にかかわらず一定の相談ニーズがあることがわかります。
一方、リテラシーが高いほど「あてはまる」割合が高い項目のスコアもご紹介します。

(5)資産運用で利用する金融機関は、電話やインターネットなどで取引ができれば、支店が近くになくてもかまわない

リテラシー高層は、その知識からある程度自分で運用商品を選定できると推測されインターネット等非対面での取引に抵抗がないようです。
一方で低層はその傾向が弱く、支店で対面で行いたいニーズがうかがえます。

リテラシー低  :19.8
リテラシーやや低 :40.0
リテラシー中 :49.6
リテラシーやや高 :65.8
リテラシー高 :79.6

ひとくちに相談ニーズがあるといってもリテラシーの高低により金融機関に求めるものは異なっており、それぞれのお客様に合わせて提案内容、チャネルなど調整しながら対応することが必要であるといえそうです。
金融リテラシーの高低によるニーズの違いについては下記コラムでも分析しております。

よろしければご覧ください。
(2018年調査のデータを使用しています)
https://www.nikkei-r.co.jp/column/id=6833

「金融METER」は全国の一般消費者16万人が自分の利用する金融機関を満足度やNPS®(※2)(推奨意向などで評価したベンチマークデータです。上記で取り上げた金融意識・金融リテラシーのほかにも多数の項目を聴取しています。
なお弊社金融自主調査「金融RADAR(本調査・特別調査)」においてもリテラシー設問を聴取しています。
金融リテラシーは自社のお客様満足度調査などでは聴取しづらい項目ですので弊社のデータをご活用いただければ幸いです。ご興味がございましたらお気軽にご連絡くださいませ。

※1:金融METER®は日経リサーチの登録商標です。
※2:Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

■今週の執筆者■
高橋 元子(ソリューション第1部)
主な担当業務:金融自主企画調査・金融機関のCS調査
【お気軽にご意見、ご要望などいただければ幸いです】
日経リサーチ 金融ソリューションチーム  
finsol@nikkei-r.co.jp
当コラムの無断転載、引用は固くお断りいたします。また、執筆者個人の主観、意見が含まれております、ご了承ください。


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