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Vol.44 金融教育×SDGs

                                                                                                          2021年11月

先日、2022年度からは高校の家庭科の学習内容に「資産形成」が加わると報道されました。
今回は今後国内での教育推進が進んでいくであろう「金融教育」について国内外の取り組みなどをご案内したいと思います。

日本における金融教育は、2020年度から学習指導要領に金融についての内容が加わっており、上述の通り2022年度からは高校の家庭科の学習内容に「資産形成」が加わることとなりました。
この背景には、2022年4月から成年年齢の引き下げがあります。
高校卒業後には「成年=大人」としての個々の金融における判断が求められることとなります。
また、ライフプランの多様化から資産形成の難易度は高まっています。
これらの要因から「金融教育」の必要性が高まっています。
しかし、日本では諸外国に比べて「金融教育」の分野では後れを取っていると言われています。

まず海外と日本における学校教育における金融教育の違いについて簡単にご案内します。
イギリスでは必修科目としてリスク管理や金融商品やサービスなどの多くの教育を実施しています。
アメリカでは、各州の方針により異なりますが、シミュレーションゲームなどを通じて貯金や投資、小切手やクレジットなどの教育をしています。
日本では、前述の通り2020年度に小学校、2021年度に中学校、2022年度に高等学校の家庭科の授業で金融商品や資産形成についての教育が順次行われることとなりましたが、浸透レベルとしてはまだまだこれからといった段階です。

日本の金融機関では、HP上での啓もう活動や大学など教育機関と連携して講義を実施しているほか、職場体験や、セミナー・イベントなどを実施して金融教育を実施しています。
また、業界団体でも民間金融機関と同様の動きが見られるほか、金融庁も教育現場への積極的な支援や、教育者向けのイベント開設を行う予定であるなど、官民一体でその取り組みが近年ますます広がっています。

なお、金融庁や環境省のESG金融懇談会では国民一人一人のESG金融リテラシー向上も環境への取り組みと共に重要と提言されており、国内金融機関各社へ金融教育への取り組みが求められる状況下にあります。

このため、皆様も出張での授業実施や就業体験、教材提供などさまざまな方法で金融教育に取り組んでいることと存じます。
これらの取り組みは正に「SDGs」の取り組みに該当してきますが、皆様の会社での金融教育実施やその他SDGsへの取り組みは顧客に認知されていますでしょうか。
弊社で実施したコーポレートブランドに関する調査(ブランド戦略サーベイ2021)では、SDGsへの取り組みを認知している人は、その企業について理解している人と比べてブランドへの共感具合が約1.5倍高くなる傾向が見られました。

企業価値向上の意味合いやサステナビリティの視点から長期的な顧客創出の視点もあり、金融教育に取り組まれているかと思いますが、昨今の消費者トラブルの増加などを背景に消費者にとって資産形成などの金融基礎知識の重要性はますます高まっています。
SDGsの取り組みも重要ですが、行動の成果を図るうえでも認知状況やどのような取り組みが認知されているかなども確認してみてはいかがでしょうか。


■今週の執筆者■
山田 雄貴(ソリューション本部 営業企画部)

【お気軽にご意見、ご要望などいただければ幸いです】
日経リサーチ 金融ソリューションチーム   finsol@nikkei-r.co.jp

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