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ブランディングのゴールは8・6・4・5

こんにちは、日経リサーチ ブランドチームの持木です。

ブランディングには様々な考え方があり、どれが正解だという答えはありません。多様な定義や施策があるため、決まったゴールもないともいえます。とはいえ、ブランディングをするからには独自でゴールを設定しなければ息切れしてしまいます。今回はひとつの目安をご紹介しましょう。

ブランドの成長過程

ブランディングとは、まずは相手に「名前だけでも知ってもらう」ことから始まります。そして「理解を深めてもらう」「共感してもらう」ことで強いブランドとなり、周囲に「薦めてもらえる」までに成長します。

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このブランド進化の過程ですが、一般的にはどの程度のものなのでしょうか。日経リサーチでは毎年「ブランド戦略サーベイ」を実施しており、代表企業600社のブランド浸透状況を数値化しています。今回、このブランド進化の各過程である「企業認知」「内容理解」「共感」「推奨意向」の4つを抜き出し、その推移を600社平均で出してみました。これを目指すべきゴール(ベンチマーク)とみなしましょう。

企業認知は8割を目指そう

【企業認知】ブランド戦略サーベイで測定する企業で「企業名を知っている(きいたことがある)」割合は76%(600社平均)でした。冒頭での通り、名前を知ってもらわなければ始まりません。新規でブランディング施策を打つ場合、最初に向上させるべき項目です。代表的な施策はマス広告、ウェブでのリスティング広告(検索連動型広告)などがあります。

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企業認知率(600社平均、%)

内容理解は6割を目指そう

【内容理解】企業名を知られているだけでは不十分で、少なくとも「どんな事業をしているのか」という内容理解がセットで必要です。ブランド戦略サーベイ測定企業600社平均は、企業名を知る人のうち、59%が内容まで理解していました。10人中6人は企業の事業を知っている、というところまで持っていくことができれば、一般的な水準に達したといえるでしょう。自社サイトの充実化やニュースリリース、マス媒体・ウェブでの記事体広告などが代表的な施策としてあげられます。

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企業認知者に占める企業内容理解者の割合(600社平均、%)

共感は4割を目指そう

【共感】信頼や愛着を得て強いブランドとなるためには、理念や活動に「共感を得る」ことが必要です。ブランド戦略サーベイ測定企業600社平均は、企業の事業内容を理解する人のうち、38%が企業の姿勢・活動・考え方に共感をしていました。共感を得るためにはストーリーを伴いながら製品・サービスを体験してもらうことが良いとされています。いわゆる「ファン」に昇華させるのがポイントです。

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事業理解者に占める共感者の割合(600社平均、%)

推奨意向は5割程度に

【推奨意向】ブランド戦略サーベイ測定企業600社平均は、共感している人のうち、53%が周囲に推奨する意向を示していました。推奨意向とはNPS®(Net Promoter Score)とも呼ばれており、事業の成長と高い相関があるといわれています。推奨意向を高めるための直接的な施策はなかなかありません。前述の「内容理解」や「共感」の強化を図りながら、推奨意向の推移を見守ることが肝要です。

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共感者に占める推奨意向者の割合(600社平均、%)

もし「これから企業のブランディングを強化していこう」と考えている場合、これらの数字を目指して施策を展開してはいかがでしょうか。

(日経リサーチ ソリューション本部 ブランドチーム 持木俊介)

利用データ:
日経リサーチ「ブランド戦略サーベイ」コンシューマー編(2020年調査)

参考文献:
博報堂ブランドコンサルティング(2000)「図解でわかるブランドマーケティング」p.20-21(日本能率協会マネジメントセンター)

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